記者とPR担当の関係をかえるかもしれないソーシャルなプラットフォームが登場:取材者と情報源とのマッチングを行うNewsBasis
via nytimes.com
ソーシャルメディアの普及によって、記者とPR担当者の関係は変わるのでしょうか?
ちょうど10年くらい前、eメールが普及しだしたときに、登録記者へのリリース配信サービスが始まり、今はその発展系として、ニュースサイトへのリリース配信を行うネットPRに繋がっていると思います。
そしてソーシャルメディアの時代。
記事のネタを探す際にジャーナリストの89%がブログを、65%がFacebookやLinkedInのようなSNSを、52%がTwitterなどのマイクロブログを閲覧する。
というデータもあるほど、情報があふれかえるソーシャルメディアは、時としてネタの宝庫ともいえます。また、大手メディアが、影響力のある人のTwitterでの発言をニュースに取り上げることも珍しくなくなってきています。
ただ、いまだ電話や面会によるアプローチの力が大きいことには変わりないと思います。
それは直接的なコミュニケーションの説得力が強いということに加え、情報源の信頼性が担保されている、という側面があるからだと思います。
NewsBasis が提供するのは、情報を求める記者と、特定の情報を提供したいPR担当とのマッチングを可能にするプラットフォーム。さらにWeb上で記事の補足や見解を加えることもできます。
記者は特定の専門家や視点から質問を投稿したり、情報の検索をすることができる。記者は匿名で質問して競合を避けることもできる。質問への回答締め切り期限の設定や、回答を得られたら質問を取り下げることも可能。企業や、PR会社そして学者は質問を検索し、関連する問い合わせがあった場合、メールで記者に情報を伝えることができる。
実際の画面での操作イメージを下の動画で見ることができます。
記者向けの説明動画
企業、PR代理店向けの説明動画
企業向けの動画を見ると分かるのですが、記事にコメントを付けることができるので、例えば「ここで書かれていることとは異なる側面もあります。例えば弊社の製品では・・・」というように、記者の文脈に沿った情報提供がダイレクトにできるのは、なかなか好感が持てる部分です。
「テクノロジーとデザインを通じて メディアリレーションを変えることは、両者にとってメリットがあるはずです。」(NewsBasisのCTO Siry氏)"To transform media relations using technology and using design, it has to work for both sides,"said Mr. Siry, who built NewsBasis with Jacob Rothstein, its chief technology officer.
さてさて、このサービス、普及するのでしょうか?ポイントになりそうなことをいくつか列挙してみると、以下の点が気になるところ。
記者は基本的にオープンに取材しない:匿名での質問ができるとはいえ、手の内を明かすようなことは積極的にしたがらないと思われます。
署名記事の文化があるかどうか:記者個人の存在感を出すか出さないかの文化的な側面の影響は大きいと思います。もし日本で同様のサービスが展開される場合、署名記事が増えてきているので状況は変わり始めていますが、大手メディアにはあまりフィットしないかもしれません。
登録者の確保:当然といえば当然なのですが、登録されている記者の数、記者の所属するメディアの影響力がどの程度強いのか、などがプラットフォームとして魅力的になるかどうかのポイントだと思います。逆に記者側にとっては有益な情報が得られる場所と思えるほど情報源が確保されているかが重要です。
このサービスがうまく普及すれば、特にPR代理店と契約する予算の確保が難しい中小企業にとっては、大手メディアの記者と接する機会を持つことができるありがたいツールとなるでしょう。
一方、ソーシャルメディア上の情報は玉石混合で、情報の信頼性に欠けるものの、通常のルートでは得られない情報に遭遇する可能性があり、その魅力的な要素はこのプラットフォームには期待できないでしょう。
ツールは都合に合わせて使えばいいものなので、個人的にはこういう試みは大歓迎です。情報網/情報提供先を広げる、という意味でまずは利用してみたいなと思います(日本市場向けが出るなら)。
ご参考:
