iPhone4S発売の裏で大規模障害に見舞われたBlackBerryとその危機対応
via flickr by sofianeb
日本では影響を受けなかった(少なくとも筆者の周りでは)せいか、あまり話題になっていないようですが、iPhone 4Sの発売で沸いた先週、BlackBerryを提供するRIM社とそのユーザーは大規模な通信障害に見舞われていました。
RIMによればトラブルの原因は「ハードウエアのエラー」。バックアップ用のシステムも「期待通りに動かなかった」という。今回の通信障害はまず、10日に欧州や中東、アフリカで発生。11日には南米まで広がった。この日の夜、RIMは問題点を突き止め、「解決にあたっている」と発表したが状況はさらに悪化し、12日には米国やカナダのユーザーまでネット接続などができなくなった。(via CNN)
こうした危機発生時に大切なことが状況の把握と初動での対応であり、初動の対応次第でその後の広報的な被害拡大を抑えることができます。
もちろんソーシャルメディアにおいても同じことがいえますが、RIM社の対応はどうだったのでしょうか?
RIM社では@BlackBerry, @BlackBerryHelp, Facebookページなど複数のアカウントを展開しています。RIM社の取り組みは筆者のブログでも紹介したことがありますが、顧客との接点をソーシャルメディア上で持っているので、危機発生時に最新情報の発信拠点として役立てることができますが、その対応がどうだったのかを、初動を中心にちょっと見てみましょう。
これはtwitterアカウント@BlackBerryの10日から12日までのツイートです。
障害発生当日の10日に障害に関する投稿をしていますが、10日:1回、11日:1回と数は少なく、障害地域の状況などの詳細は伝えられていませんでした。顧客との直接対話、サポートを行うアカウントとも思われる@BlackBerryHelpにおいても、個別対応を開始したのは13日になってからでした。
また、10日に@BlackBerryHelpのRTを通じて障害発生情報を伝えた
RT @BlackBerryHelp Some users in EMEA are experiencing issues. We're investigating, and we apologise for any inconvenience.
かと思えば、その後も通常のトーンのマーケティングメッセージを発しています。
Do u use BlackBerry products & services in ur biz? Join the @BlackBerry4Biz group on LinkedIn to share best practices: bbry.lv/qEnHva
おそらくこの時点では障害の規模が大きくなく、早期に収束すると考えられていたのかもしれませんが、障害によって利用が困難になっている顧客がいることを考えれば、早期の段階でこうした対応は自粛するのがベターだと思います。
また、Facebookでは11日(注:言語設定が英語の場合)に
We are pleased to report that BlackBerry email services have been restored.
と、障害復旧を伝えるメッセージを出している一方、 ツイッターでは12日に
Message delays were caused by a core switch failure in RIM's infrastructure. Now being resolved. Sorry for inconvenience.
障害継続中と伝えており、チャネルによって齟齬が発生しています。状況がわからないためなんとも言えませんが、チームが別で連携が取れていなかったのかもしれませんし、直ったと思ったら直っていなかった、ということなのかもしれません。
また、実際にはこの時点では障害は終わっておらず、米国やカナダに被害が拡大することになってしまったことを考えると、結果的には終結宣言自体が早すぎたことになります。
こうした初動対応については批判的な記事も見受けられましたが、12日以降はBlackBerry Service Updateに情報を集約し、積極的な誘導を開始しています。特設サイトにはCEOの謝罪メッセージが記され、YouTubeの動画もエンベッドされています。
また、13日にはカンファレンスコールも行われた模様です。
さて、この事例からポイントだと思ったことをまとめてみます。
1. 初動が大事:ソーシャルメディアはリアルタイムのコミュニケーション。状況の把握と危機発生の告知や謝罪、詳細情報の伝達はできる限り速やかに。個別対応が可能であれば、早いタイミングで開始するのがよいでしょう。
2. 自粛モードへの移行は速やかに:フォロアーやファンの中には、被害を受けている「実際の顧客」がいます。優先すべきはそのお客様への対応です。
3. メッセージは同じタイミングで同じ内容のものを:ツイッターやFacebookのように複数のチャネルにまたがって展開している場合は、時間と場所によって発言に齟齬がないようにするべきでしょう。
4. 情報の集約と拡散:ソーシャルメディアでの情報発信はフローであるため、集約サイトを立ててストックするのは重要。また、YouTubeなど拡散させやすいツールを通じてトップの謝罪メッセージを伝えることもやるべきことのことの一つだと思います。
5. 危機の時ほど判断基準は厳しく:例えば、「解決した」と発表後、「実は解決していなかった」、ということになると混乱を招きます。早期に終結宣言を出したい気持ちを抑え、より厳しい目で状況判断を行って発言を行うべきでしょう。
特に3番目の部分はソーシャルメディア上に運営アカウントが増える程重要で、担当やチームがチャネル別に異なることもあるでしょうが、顧客にとっては「一つの企業」になるので声も一つにすべきところです。
当然、伝統的な広報チャネルとの連携も重要ですし、各チャネル間の情報連携が速やかにできるように、日頃準備をしておく必要もあるでしょう。














