iPhone4S発売の裏で大規模障害に見舞われたBlackBerryとその危機対応

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via flickr bsofianeb

日本では影響を受けなかった(少なくとも筆者の周りでは)せいか、あまり話題になっていないようですが、iPhone 4Sの発売で沸いた先週、BlackBerryを提供するRIM社とそのユーザーは大規模な通信障害に見舞われていました。

RIMによればトラブルの原因は「ハードウエアのエラー」。バックアップ用のシステムも「期待通りに動かなかった」という。今回の通信障害はまず、10日に欧州や中東、アフリカで発生。11日には南米まで広がった。この日の夜、RIMは問題点を突き止め、「解決にあたっている」と発表したが状況はさらに悪化し、12日には米国やカナダのユーザーまでネット接続などができなくなった。(via CNN)

こうした危機発生時に大切なことが状況の把握と初動での対応であり、初動の対応次第でその後の広報的な被害拡大を抑えることができます。

もちろんソーシャルメディアにおいても同じことがいえますが、RIM社の対応はどうだったのでしょうか?

RIM社では@BlackBerry, @BlackBerryHelp, Facebookページなど複数のアカウントを展開しています。RIM社の取り組みは筆者のブログでも紹介したことがありますが、顧客との接点をソーシャルメディア上で持っているので、危機発生時に最新情報の発信拠点として役立てることができますが、その対応がどうだったのかを、初動を中心にちょっと見てみましょう。

これはtwitterアカウント@BlackBerryの10日から12日までのツイートです。

障害発生当日の10日に障害に関する投稿をしていますが、10日:1回、11日:1回と数は少なく、障害地域の状況などの詳細は伝えられていませんでした。顧客との直接対話、サポートを行うアカウントとも思われる@BlackBerryHelpにおいても、個別対応を開始したのは13日になってからでした。

また、10日に@BlackBerryHelpのRTを通じて障害発生情報を伝えた

RT @BlackBerryHelp Some users in EMEA are experiencing issues. We're investigating, and we apologise for any inconvenience.

かと思えば、その後も通常のトーンのマーケティングメッセージを発しています。

Do u use BlackBerry products & services in ur biz? Join the @BlackBerry4Biz group on LinkedIn to share best practices: bbry.lv/qEnHva

おそらくこの時点では障害の規模が大きくなく、早期に収束すると考えられていたのかもしれませんが、障害によって利用が困難になっている顧客がいることを考えれば、早期の段階でこうした対応は自粛するのがベターだと思います。

また、Facebookでは11日(注:言語設定が英語の場合)に

We are pleased to report that BlackBerry email services have been restored. 

と、障害復旧を伝えるメッセージを出している一方、 ツイッターでは12日に

Message delays were caused by a core switch failure in RIM's infrastructure. Now being resolved. Sorry for inconvenience.

障害継続中と伝えており、チャネルによって齟齬が発生しています。状況がわからないためなんとも言えませんが、チームが別で連携が取れていなかったのかもしれませんし、直ったと思ったら直っていなかった、ということなのかもしれません。

また、実際にはこの時点では障害は終わっておらず、米国やカナダに被害が拡大することになってしまったことを考えると、結果的には終結宣言自体が早すぎたことになります。

こうした初動対応については批判的な記事も見受けられましたが、12日以降はBlackBerry Service Updateに情報を集約し、積極的な誘導を開始しています。特設サイトにはCEOの謝罪メッセージが記され、YouTubeの動画もエンベッドされています。

また、13日にはカンファレンスコールも行われた模様です。

さて、この事例からポイントだと思ったことをまとめてみます。

1. 初動が大事:ソーシャルメディアはリアルタイムのコミュニケーション。状況の把握と危機発生の告知や謝罪、詳細情報の伝達はできる限り速やかに。個別対応が可能であれば、早いタイミングで開始するのがよいでしょう。

2. 自粛モードへの移行は速やかに:フォロアーやファンの中には、被害を受けている「実際の顧客」がいます。優先すべきはそのお客様への対応です。

3. メッセージは同じタイミングで同じ内容のものを:ツイッターやFacebookのように複数のチャネルにまたがって展開している場合は、時間と場所によって発言に齟齬がないようにするべきでしょう。

4. 情報の集約と拡散:ソーシャルメディアでの情報発信はフローであるため、集約サイトを立ててストックするのは重要。また、YouTubeなど拡散させやすいツールを通じてトップの謝罪メッセージを伝えることもやるべきことのことの一つだと思います。

5. 危機の時ほど判断基準は厳しく:例えば、「解決した」と発表後、「実は解決していなかった」、ということになると混乱を招きます。早期に終結宣言を出したい気持ちを抑え、より厳しい目で状況判断を行って発言を行うべきでしょう。

特に3番目の部分はソーシャルメディア上に運営アカウントが増える程重要で、担当やチームがチャネル別に異なることもあるでしょうが、顧客にとっては「一つの企業」になるので声も一つにすべきところです。

当然、伝統的な広報チャネルとの連携も重要ですし、各チャネル間の情報連携が速やかにできるように、日頃準備をしておく必要もあるでしょう。

原油流出事故から1年たったBPの空転するソーシャルメディア活動

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原油流出事故から1年以上が経過した現在、 石油メジャーBPのソーシャルメディアチャネルでは、回復するメキシコ湾岸の観光やシーフードなどのステータスアップデートを行う事で、プロモーションを行っているようです。

例えばFacebook Pageをみてみると、

いい釣りを楽しみたいですか?今年のルイジアナの漁場は、大型魚が豊富に水揚げされ、とてもいい釣りの季節に入ったそうです。詳細は下のリンクでどうぞ。

という感じで良いニュースを掲載しています。

ところが、先日公開されていたClick Zの記事によると、どうも地元住民との関係はすっきりしていない様子。

例えば、BPのYouTubeチャネルには、PR代理店が手掛ける地元のレストランオーナーの動画などがあるのですが、記事にはThe Fish Houseというお店のマーケティング担当Shelley Yates氏の、

彼らが撮影に来た時、これはBPとは全く関係がない、と言っていたのですが、その映像はBPのFacebookページやYoutubeに投稿されました。しかも、それはとても不自然な映像で、好意的に受けれられていませんでした。

というコメントが掲載されていました。

そのお店のオーナーが出演している動画は削除されたようですが、

嘘ばかり。彼はこの広告のためにいくらもらったんだろう。

という不本意なコメントも付けられていたとのこと。

今はそれと似たような動画が掲載されています。

この動画にもやはり、非常に多くのネガティブなコメントがつけられており、また多くのコメントが削除されています。

BPとしてはとにかくポジティブなニュースを発信して、ブランドのリカバリーにつなげたい、という意向もあるのかもしれません。ただし、FacebookやTwitter、Youtubeなどを活用したその努力が、奏効しているかというと恐らくそうではないようです。

事故から1年が経過したときに出されたオバマ大統領の声明に関する記事によると、

回復作業には現在も2000人近くが携わっている。声明は「(回復作業は)大幅に進展したが、仕事は終わっていない。湾岸地域を事故以前よりも高い水準に回復させるのが目標だ」

とのこと。

BPによるメキシコ湾の環境回復のPRは「美味しいシーフードを食べませんか?」といったトーンのコミュニケーションをすることではなく、粛々と回復作業のレポートを行い、地域産業のPRに関しては黒子に徹する方がよいのでしょう。

最後にYates氏のコメントを。いったい誰が加害者なのか、という事を考えさせられます。

BPが、メキシコ湾の魚やビーチに関する誤解を解こうとしてくれているのはありがたいが、そのブランド名が同じくらいイメージを悪くしているのではないかとも思っています。
 
実際の現実と、オイルが沿岸に打ちよせてくるというイメージとのギャップに昨年は悪影響を受けました。ほとんどの場所は美しいままなのに、その恐ろしい、陰鬱な映像は繰り返し放映されました。オイルに汚された場所は一部でしたが、メディアが描き出したものは異なり、多くの人を怖がらせるものでした。

ツイートひとつで最大顧客を失ったPR代理店

Duke

 via wired.com

先週、世界最大級のゲームショー「E3」が盛り上がっているころ、ゲームのPR界隈である事件が起きていたようです。

Duke Nukem Foreverというゲームに対するレビューが低かったことに対して、そのPRを担当している代理店がある一言をツイートし、それが原因でクライアントを落としてしまった、とのこと。

そのツイートとは、

レビューはみな行き過ぎだ、、、今日の悪意を基に次回(レビュー用の)ゲームを手に入れられる人とそうでない人とを評価します。

というもの。

ゲームに対してつけられたスコアを見ると、50ポイントで確かに高くはありませんが、このツイートは「レビュー内容によっては、以後ゲームを手に入れられなくする」という脅しとも言える内容であり、評論の自由をコントロールしかねないものです。

PRはメッセージをコントロールするものではないにも関わらず、です。

これに対してクライアントである2K Games社は、

2K Gamesは、@TheRednerGroupによるコメントを支持ならびに擁護いたしません。そして、彼らはもう私たちの製品PRの代理を務めることはありません。私たちは報道機関との相互に敬意をもった関係を維持してまいります。私たちは@TheRednerGroupのとった行為を決して容認しません。(via adage.com

という代理店への解雇宣言ともいえる声明を発表(Ad Ageの記事を読む限り、この代理店の最大顧客だった模様)。

問題となったそのツイートはすでに削除されていますが(Wiredの記事にはスクリーンショットがあります)、そのtwitterアカウントをみると、

Duke_tweet

担当者のとった行動が2Kの指示によるものではなく、自分自身の感情に任せての発言であったこと、そして恐らくこの担当者はこれが原因で解雇されてしまったであろう事が分かります。

あまりにもお粗末な対応ですが、最大手クライアントの、年に一度のゲームショーでの厳しすぎる評価に対するプレッシャーもっきっと強かったのでしょう。

レビューを操作するようなことはあってはいけないし、(実際行っていなくても)それをしようとする意図を示す事自体あってはならない、ということを肝に銘じておかなければですね。 

ご参考

Facebookが不適切な投稿のフィルタリングを行うモデレーション機能を追加:もちろん無料で

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新年度に入り、今年はFacebookを始めるぞ、という企業も少なくはないと思いますが、その際の懸念のひとつが不適切な投稿の処理。

そんな企業の担当者に朗報となりそうなのが、Facebookが公式に追加した、禁止語句を含む投稿のフィルタリングを行うモデレーション機能。

もちろんこの機能は無料で提供されます。

これによって禁止語句のリストを管理者が指定できる作れるようになったわけですが、ヘルプセンターの説明には以下のように書かれています。

ページに投稿されるコンテンツに対して制限を設けることはできますか
ページに不適切な語句が表示されないよう、コンマ区切りのキーワードを「禁止語句リスト」として指定できます。[Facebookページを編集]を選択し、[権限の管理]タブを開くと、禁止語句リストにキーワードを追加できます。禁止語句リストに含まれている語句がページへの投稿やコメントに使用されると、そのコンテンツは自動的にスパムに指定されます。投稿はページの「スパム」フィルタに配置され、公開されることはありません。コメントは管理人に対してグレーで表示されますが、一般には公開されません。

投稿からスパムの指定をはずすには、[スパム]フィルタをクリックして、その投稿にカーソルを合わせ、[X]をクリックします。[スパム指定を取り消す]を選択します。コメントからスパムの指定をはずすには、そのコメントにカーソルを合わせ、[X]をクリックします。[スパム指定を取り消す]を選択します。

また、Facebookが事前に登録した「不適切表現」のブロックを「なし、中、強」から選ぶこともでき、一般的な公序良俗に反する表現は、ここでフィルタリングできるようになりそうです。

ただし、不適切表現のブロックについては、具体的にどういった言葉が指定されているのかは分かりません。

Inside Facebookの記事によると、これまでFacebook上でのモデレーションのソフトウェアや、目視によるモデレーションサービスを提供してきた企業となりそう、とのこと。

この機能を使うことで担当者の負担は軽減できそうですが、これは投稿自体を削除するものではなく、一般に表示されなくなるものなので、投稿した本人やその友達には見られることになりそう。不適切な投稿を削除するという業務自体は定期的に行う必要がありそうです。

また、これによって「炎上」が避けられるわけではありません。いうまでもないことですが念のため。

ご参考: 

リコール問題で危機的状況にあったトヨタがソーシャルメディアで行ったこと

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via flickr by OnTask

今年2月8日、アメリカの運輸省から電子制御装置に欠陥はなかったとの安全宣言が出され、業績も回復、一旦は幕を閉じることになったトヨタの大規模リコール

そのトヨタが危機的状況にある中、ブランドアドボカシー(推奨)を築くために、どのようにソーシャルメディアを活用したかについて、アメリカ国内のデジタルマーケティング & ソーシャルメディアマネージャー、Kimberley Gardiner氏のプレゼンテーションとそのサマリが紹介されていたので、サマリのほうを抄訳にて。

経営陣を前面に出す
トヨタのアメリカにおけるCEOのJim Lentsを、リコールの真っ最中にDigg上で、コミュニティから寄せられる質問に回答させました。会社のトップを出して回答させたことによってブランドイメージを和らげることに成功しました。

ポジティブなニュースを作る
ブランドに関するネガティブな意見に対し、トヨタはポジティブな会話を生みだす面白いコンテンツを作りました。"Swagger Wagon"というミニバンSiennaを発売するときに使ったバイラルビデオです。(チャンネルの)再生回数は1,100万回を超え、数か月がったった今でもそのことが人々の話題に上ります。このキャンペーンは消費者に投稿を呼び掛けるコンテストになりました。

ブランドの推奨者の声を見つける
トヨタのソーシャルチャネルは、消費者が自らポジティブな意見とブランド体験とを共有する場となりました。それがきっかけで"Autobiography"という、消費者が自分の車についての物語りを、文章や写真、動画等で投稿できるキャンペーンを行いました。1,380ものストーリーが集まり、2か月でトヨタのFacebookページの"Like"は倍になりました。

トヨタのリコール発生当初のソーシャルメディア上の対応については、筆者も「トップ自らが積極的に参加する、米トヨタのソーシャルメディアを活用したダメージコントロール」というエントリで紹介しましたが、初期の時点で積極的にトップが対話を行うフェーズから、消費者との対話を通じて周りの状況(空気)の変化を理解しつつ、それに合ったキャンペーンを順次展開してきた様子がうかがえますね。

Kimberley Gardiner氏のプレゼンテーションは以下の動画はこちらからご覧になることができます。

枝野官房長官から学べる10のこと:危機管理広報の視点から

2011年3月11日(金)午後2時46分頃に発生した、東北地方太平洋沖地震の影響で被災地は言うまでもなく、福島第一原発の事故により被災地以外の人達も不安に襲われています。

こうした状況において一躍注目を浴びているのが、枝野官房長官。

不眠不休で出ずっぱりの状況と思われる枝野官房長官についてTwitterでは"#edano_nero"というハッシュタグがトレンドトピックとなり、THE WALL STREET JOURNALでもその様子が、Tireless Edano Earns Twitter Respectという記事で取り上げられました(翻訳版)。

広報の分野において重要なものの一つが、有事の際の危機管理広報。対応を誤れば、顧客のみならず社会全体を敵に回してしまうことになります。

今回の枝野官房長官の対応の姿勢が、危機管理広報の観点から素晴らしいので、その理由をまとめてみました。

1. しっかりとした口調で、ゆっくりと、文節を切りながら説明する。

2. 原稿を読まずに自分の言葉で話す。

3. 記者を指名する際、回答する際に目を見て答える。

4. (放射能漏れしているなどの)可能性を否定せず「可能性はあるが」と受け止める。

5. 専門家の判断が必要な部分については、その旨を述べつつ、自らの見解を示す。

6. 誤解が起きそうなところを繰り返し、説明する。(12日時点の上の動画の冒頭や、15日時点の4号機の火災に関する説明 - 下の動画の10分過ぎあたり)

7. 最大の関心事といえる放射能の身体への影響についてきちんと説明する(数値だけではなく、放射線を浴びた時間が健康に影響を与えることの説明など。「毎時」が省略されている場合がある)。

8. 質問に対して回避的な答えはせずに、事実ベースでできる範囲の回答をする。

9. スポークスマンとして常に登場する。

10. 国民一人ひとりができることを具体的に説明する(節電に協力を、チェーンメールをしない、買いだめをしない等)。

特に12日の会見後は、何もわからない、隠ぺいだ、というようなコメントが見受けられましたが、事実ベースで確証を得られていることのみを話すのは当然。情報の更新が特になければ(専門家ではない私たちにとって)明確になったことは今はない、と理解したいと思います。

このたび被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

時にはポリシーを破ることも必要:@NHK_PRにみる優先事項の選択

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via flickr by liber

ソーシャルメディアポリシーやガイドラインが作られ始めたのは、ちょうど昨年の今ぐらいからだったでしょうか?

ソーシャルメディア上での社員の行動を規定するものや、企業の公式アカウントの活動指針を示すものがガイドラインで、社員やアカウント担当はそれに抵触しないように日々の活動を行うことになります。

例えばTwitterでいえば、軟式アカウントを作らない、フォロアーからの意見や問い合わせに直接回答しない、などなど。ソーシャルメディア上の企業の顔ともいえる公式アカウントは、個人のアカウントではないので色々な制限があります。

今回の東北地方太平洋沖地震において、ライフラインとして必用な情報の共有に一役を買ったのがTwitterですが、多くの人がこの@NHK_PRによる一連のツイートを目にしたことと思います。
(download)
 
@HNK_PRのポリシーやガイドラインがどのようになっているのかは知りませんが、放送局としての通常のルールやポリシー外のことをしていることは明らかです。

有事のときだから何を優先すべきか、ということでの判断だと思いますが、Twitter上では多くの賛同を得る象徴的な行動でした。

他にも企業の公式アカウントが通常業務とはまったく異なる地震情報や支援情報の公式RTなどを積極的に行っていました。

有事の際の行動指針まで規定しているガイドラインは少ないと思いますが、企業の公式アカウントからの地震関連情報のツイートは、善意による情報発信であり、一般的にはポリシーに反するものなのでしょう。

企業の公式アカウントがむやみに情報拡散することの悪い面もあるとは思いますが、ルールを破ることは時として必要だな、と痛感させられる出来事でした。

「ルールを破るべき時」これは何も有事の際に限った話ではありません。

ずっと以前に読んだ、The Art of Making Unhappy Customers Happy(不満を持っている顧客を満足させる方法)というエントリからのご紹介。

ポリシーは店舗運営者が特定の規範や業務過程に従う際に役に立つものですが、同時に知っておかなければならないのは顧客を満足させるためにポリシーを破るべき時があるということ。例えば、ある子供向けのパーティサービスの場合、パーティの開催には最低6名が必用ですが、時にはより少ない人数でも請け負う事があります。「癌を患っている私の祖母は、3人の孫娘とのティーパーティをしたがっていました。私がそれにNoと言えますか?」店舗のポリシーに例外を設けることで悪いことは起きないといいます。

「もし頻繁にそれをしていたら収益に差しさわりが生じますが、人は人であってビジネスに貢献する$のマークではないんです。例外する作る、あるいはちょっとした追加のサービス提供など、何か個人的な対応を加えることで、素晴らしい顧客基盤を作ることができます。
 
ソーシャルメディアにおける企業アカウントは、お金もうけの直接的な手段ではなく、いわば(潜在)顧客基盤。

そこで交流するファンやフォロアーのために行うちょっとしたポリシー違反が一時的にマイナスになるとしても、長期的にはきっとリターンがあると思います。

ご参考

Facebookでの炎上、ファンページを放棄しても逃げられない:認識しておきたい実名だからこその怖さ

"We put some time into rewrites, you should compensate me! I never charge young writers for advice or rewriting poorly written pieces, and have many who write for me… ALWAYS for free!"

私たちはリライトに相当な時間を費やしてるのだから、あなたはそれに対して対価を支払うべきだ!私は若いライターへのアドバイスや下手な文章のリライトに対して請求したことはないし、私のために記事を書いてくれるライターはたくさんいる、「常に」無料で!

と、いきなり過激な感じで始まりましたが、これはフードライターのMonica Gaudio さんが、自分の書いた記事が無断でCooks Sourceという雑誌に掲載されていいるのを知り、その理由を尋ね、謝罪とColumbia Journalism Schoolへの$130寄付を求めた際にCooks Source誌から受けた回答です。

Cooks Source誌のコメントには次のようなものもありました。

でもMonica、webは「パブリックドメイン」だと考えられているわけだし、私たちがあなたの記事の全てを掲載せずに、誰か別の人の名前を署名として入れなかったことをありがたく思った方がいい。

この対応をMonicaさんが公開したところ、Cooks Source誌のFacebookファンページ(注:こちらは新ページ)には非難が殺到。数百人規模の「ファン」が数日のうちに数千人にも膨れ上がり、他の記事のネタ元まで公開される始末。その中には、NPRMartha StewartFood Networkのような著名なサイトも含まれていたそうです。

 
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ついにファンページを放棄して新たなファンページを立ち上げたものの「ファン」も一緒に移動(現在6000名強のファン登録)。

(download)

(旧・新) via davefleet.com

定番といってもいいかもしれませんが

誹謗するコメントは削除する

という強硬姿勢を打ち出し悪化、ついにはWashington Postthe Guardianなどでも取り上げられる事態となりました。

引用しているエントリでは、

1. イリーガルなことをしていないか確認しましょう。
2. モデレーションポリシーを作りましょう。
3. 一般的なものとソーシャル向け両方の社員教育を行いましょう。
4. 攻撃的なあるいは守備的な対応は避けましょう。今回のケースでは初めに謝罪をしていれば終息していたはず。
5. 繰り返しの議論から離脱する時を見極めましょう。議論に勝とうとするのではなく、公式見解を貫きましょう。

と締めくくられています。

筆者がこのケースで感じたことは、Facebookが日本で浸透すれば、実名だからこそ炎上に対して面と向き合わなければならない局面が増えるのかな、ということでした。

Facebookのように、実名だからこそ推奨される情報が信頼できるという側面は、企業にとってもありがたいものだと思います。

一方、匿名で通りすがりのように暴言を吐いていく人も多いこれまでの炎上と異なり、実名で責任を持った(多くの)発言者に対峙するときもきっと来ると思います。もちろん、匿名でも実名でも対応の基本は変わらないと思いますが、これまでの炎上とは異質の、迫るものがあるように想像されます

そんな時、ファンページを閉鎖しても(作り直したとしても)、逃げることはできません。真摯に向き合わなければだめでしょう、企業側も顔の見える(比ゆ的な意味)対応をして

ご参考

炎上の歴史が教えてくれること:学ぶ姿勢と変化することの大切さ

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 via adage.com

この年表画像、2004年から2010年までの、いわゆるネットで「炎上」したブランドを取りまとめたものです。

こうした炎上事例をまとめたプレゼンテーションがスライドシェアで共有されていました。プレゼンの中身を部分的に抄訳しながら実際の動画も交えてご紹介。

2004年 Kryptonite
プレゼンはペンで開いてしまう、懐かしのクリプナイトのU字ロックの事例から始まっています。

ブログで話題になってからの対応が遅く、ニューヨークタイムズなどのメインストリームメディアで取り上げられ、炎上が拡大した事例です。結果、1500万ドル相当の製品をリコールすることに。  

2005年 Dell
こちらは、"Dell Hell"として有名なDellのカスタマーサポートに関する苦情を綴ったブログがきっかけで、数百ものブログがカスターマーサービスの苦情を書いた事例。顧客の声を無視することがリスキーなことだということをDellに知らしめました。  
Dell_hell

2006年 Dell
こちらもDellのまさしく「炎上」している同社のノートPC。ブログGizmodoが最初に公開し話題に。結果4百万台のノートPCのバッテリをリコールすることに。
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2006年 Coca-Cola
炎上とは少し趣旨が異なりますが、ダイエットコークにメントスを入れて噴水のような現象を起こす初期のYoutubeでのバイラル動画。

コカコーラはこれを嫌い、苦情を述べていましたが、後にソーシャルメディアを受容するように。「我々のブランドをコントロールするのは我々の顧客」が同社の信条となりました。
Coke

2006年 Starbucks
スターバックスが、エチオピア政府によるコーヒー豆の商標獲得を妨げ結果農民を苦しめているという問題を起こしていたころの動画。

1杯の高額なフラペチーノでスーダンの難民キャンプの子供を1週間食べさせることができる、と主張しています。こうしたビデオは、顧客とのふれあいをスターバックスが失っていたことを顕著に示しており、スターバックスはソーシャルメディアを重視するようになりました。 
Star

2007年 JetBlue
8時間空港で待機させられたJetBlueの乗客がその状況をブログに書いたもの。Jet Blueはオンラインで自社の評判が傷つけられていることを知り、CEOが謝罪するYouTube動画を作成。

Jetblue
 
また最近の事例からは、このブログでも取り上げたことのある、Facebookで炎上を起こしたネスレや、石油流出で大きな社会問題となったBPの事例なども取り上げられています。

【ご参考】

おそらくこの歴史の振り返りでもっとも興味深いのは数字が教えてくれることでしょう。わずか6年の間で、Facebookは5億人ものメンバーを抱えるようになり、YouTubeでは、140億もの動画が日々見られ、Twitterは1億6千5百万ものユーザーが登録するようになりました。この成長に対し、37の大きな炎上、という数字はそれほど大きくないと思われます。このことから、企業がソーシャルメディアの会話に耳を傾け、学ぶことがうまくなり、ソーシャルメディアに真剣に取り組むようになったであろう、ということは明確にいえるでしょう。(adage.com)

スターバックス、ジェットブルー、コカコーラ、デル。この事例に取り上げられたこれらの企業は現在、ソーシャルメディアにおける取り組みが高く評価されている企業ばかりです。

重要なのは問題を起こしたその後の変化ということも、このプレゼンから学べるもうひとつのことだと思います。

こちらでプレゼンの全ページをご覧いただけます。 

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ご参考

炎上したら検索を買うな?:原油流出で揺れるBPのリスティング広告が非難される理由

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via blog.hubspot.com

流出した原油の回収や賠償で約1500億円を負担し、時価総額が17兆円から9兆円まで落ち込んだ(16日付日経新聞)、石油のメジャー企業BP(British Petroleum)が、"Oil Spill"などのキーワードに対してGoogleなどでの検索結果に連動したリスティング広告を購入し、それが非難を浴びているそうです
 
上の画像は、"Oil Spill"での検索結果。
 
この手法は、以前のエントリ、「炎上」したら検索を買え。「対話」型のテキスト広告:クックパッドの新テレビ番組と過去の爪痕でもご紹介していますが、炎上が誤解によって生じている場合、正しい理解を促すために、リスティング広告を通じて公式HPに誘導し、説明するというもの。
 
先日のエントリでは、「キッコーマンの醤油は純植物性ではない?」という誤認がきっかけで起きた炎上に対し、
 
"Soybeans, wheat, salt, water. Nothing else added."(大豆、小麦、塩、水、以上。)
 
というテキストのリスティング広告と、詳しい説明をした公式HPへの誘導を行っていました。
 
Googleという「世界最大のメディア」の影響力は大きく、情報が伝わるのも早いため、そのカウンターアクションをアドセンスなどで行う、しかも消費者との「対話」として検索連動型広告を活用するのは、危機対応として新しく、正しいやり方だと思いました。
 
今回のBPも原理としては同じで、
 
目的は流出の影響を最も受けている人達に正しい情報を提供すること
 
goal is to provide accurate information to help the people most affected by the spill.(blog.hubspot.com)
 
とのこと。
 
ではキッコーマンの時と今回とで何が違うのか?
 
今回、非難が起きた背景には、
 
BPが、原油流出によってネガティブな注目を集めていることへの対抗策として巨額の資金を投じていることに、オバマ大統領が不満を表明していることが、非難を呼ぶきっかけになっている。
 
The criticism comes as President Obama expressed unease at the amount of money the company was spending to counter the negative attention the company has received following the oil spill.(foxnews.com)
 
ということもあるようです。このテレビCMなどもそのひとつでしょう。
 
 
レギュレーションとしては、BPがイメージ向上施策のためにリスティング広告を行うことは全く問題ではなく、倫理に反することではないと思いますが、世論としては「今はその時ではない」ということでしょう。
 
ポイントは、会社のブランドのことは忘れろ、ということです。それは文字通り空っぽであり、あなたはそれを所有していない。あなたはあらゆる時間と金をつかって、世論を生み出そうとすることはできるが、それは最後は世間が決めることであり、今はそのときではないのでは??(streetgiant.com
 
このあたりは空気を読む、というか助言ができる第3者の存在が望まれるところ。
 
コミュニケーションでは
 
情報
 
感情
 
この2つが常にセットです。
 
論理的に考えると同時に、道義やオーディエンスの心理などを併せて考えていく必要がありますね。