非ビジュアル系企業でもPinterestは活用できる、ということを示している好事例:Pinterest向きとは言えない生理用品ブランドによるキャンペーンなど

Pinterest-experian-data

急成長が続いているPinterestが人気SNSの第3位になった、という調査レポートがExperian Marketing Services社から発表されました(2012年3月のアメリカ国内の訪問者数で3位)。

私が最初にPinterestのことを取り上げたのはまだ日本ではその勢いがあまり伝えられなかった昨年12月でしたが、今年に入ってから急成長がさらに加速し、オバマ大統領まで開始したほど。まぁ、今年は選挙もあることですし、Pinterestのメインユーザーである女性に訴えかけるツールとしてはありなのでしょう。

そんなこともあり、最近見かけたPinterestの好事例を少しまとめてみたいと思います。

Pinterestは、ビジュアル性が重視されるため、フィットする業界とそうでない業界が必然的に生まれてしまいます。Pinterestに向いている業種の代表例はメディアでしょう。例えば下の画像はELLEのアカウントですが、「レッドカーペットファッション」「ELLEセレブリティズ」「ヘアスタイル」などなど、ボードの名前を列挙するだけで楽しそうですし、各画像は当然オンライン版のメディアへの流入もとになっています。

Elle
でも、今日詳しくご紹介したいのはPinterest向けとは言えな企業でも活用のヒントになりそうな事例

最初の事例は、自動車メーカープジョーのPeugeot Panamaのアカウントです。

Puzzle

車の画像をパズルのピースのように分解してPinする手法は他でもよく見ますが、秀逸なのがパズル化したPinをキャンペーンに活用している点。Peugeot Puzzle Contestは、

・@Peugeot Panama のアカウントをフォローし
・Peugeot Puzzle Contestという名前でボードを作り
・パズルが完成したことを伝えると先着5名が商品をもらえる

という仕組み。

足りないパズルのピースがどこにあるかというと、Peugeot PanamaのFacebookページ公式サイト他のサイトを利用しているのは良いポイントですね。

次にご紹介したいのは、イスラエルの生理用品メーカーKotexのケース。生理用品ブランドなので、当然女性がターゲットとなりPinterestに目を付けたわけですが、直接商品訴求をするのは、Pinterestにはふさわしくありません。そこで行ったのが"Women’s Inspiration Day"というキャンペーン。

紹介ビデオによると、

・影響力"のある Pinterestユーザー50名を選び
・彼女たちの好みの傾向を分析
・それに基づいて手作りのプレゼントを作り送った

という実施内容。

結果、制作した50のプレゼントボックスに対して、50名ほぼ全員が自身のPinterestで贈り物をPinし、それがFacebookや、Instagramにも波及。合計で694,853インプレッションを獲得したそうです。

ターゲットの中からインフルエンサーを探し、一人ひとりに合わせたアプローチをする、というとても基本に忠実で心のこもった、このキャンペーン自社製品をPinterestでは出しにくなぁ、という業界でもPinterestを通じて顧客と豊かな関係が作れる、といういい事例だと思います。

Kotexの事例は紹介ビデオを見ていも具体的な手法が今一つ分からなかったので色々調べてみました。以下自分用メモの詳細なので、興味のない方はスキップしてください。

<インフルエンサーへのアプローチ>
Get Inspiredというキャンペーンアカウント(キャッシュ)を作り

Get_inspired4

そこから直接コンタクトし、以下のメッセージを残す。

"Kotex loves the way you express yourself! Like our photo and we will show u the unique way we express ourselves… http://pinterest.com/pin/75..."

その様子がこちら(キャッシュ)。

Get_inspired3

<Repin>
指定されたURL(飛び先は削除済み)は、Get InspiredのPinで、これをRepinする。その後再度連絡をとって送り先等の個人情報取得をしたのでしょう。

Get_inspired2

<実際のプレゼント画像>
Get_inspired5

Get_inspired6

他の事例として、Pinterestを使って1から81の番号が振られた画像をRepinしてくれた人の中から毎週抽選でプレゼントがあたる宝くじ感覚なイギリスのbim Airlinesの施策はシンプルですが、応用しやすいでしょう。

Bmi

また、女性の中では、Pinterestのレシピ画像にインスパイアされてPintrest partyなるものを開催する現象も起きているようで、

例えば食品メーカーなら自社の製品を使った楽しいレシピをPinしていけば、こうした現象をマーケティングに活用できそうです。

単に売りたい商品をダイレクトに訴求するのではなく、会話(この場合Repin)を生むようなコンテンツや、役に立つコンテンツを提供する、という他のソーシャルメディア原則は、Pinterestでも同じですね(同じというよりその傾向はより強いのでしょうね)。

Facebookページのタイムライン化をクリエイティブに生かすFantaの試み:タイムラインをタイムマシン化する遊び

900_067424345a4c985a17e2ef18d2

先週日本でも開催された、Facebookによる企業のマーケティング担当者向けカンファレンス「fMC Tokyo」。アメリカで行われた「fMC」同様、Facebookページのタイムライン化と有料広告のReach Generatorについての説明がなされました。

今回の変更によって、スタートページを使ってLike gatingができなくなるなど、Facebookページのタイムライン化で運用方針を色々と見直さざるを得ない企業も多いと思いますが、そのFacebookページのタイムライン化をクリエイティブな視点で活用しているブランドもあります。

タイムライン化に対応したFacebookページというと、まとめ記事が多数あるように、カバー画像のデザインに注目が行きがちですが、カラムの右側にある年表機能「マイルストン」も活用できるポイント。ブランドの歴史を記載することができるわけですが、年表に単に情報を入力するだけではない使い方ができます。

例えばこれは1955年のFanta誕生をタイムライン上で表現したもの。

Fanta1955
こんな使い方もあるんですね〜、と感心してしまいました。

さて、FantaのFacebookページではこれだけではなく、行方不明になったFantaのキャラクター4名を探し出し現在に連れ戻そう、というタイムラインを活用したイベントが開催されています
 
Gili_1
最初に居場所がわかったのはGiliというキャラクターで、1955年に迷い込んでいました。1955年に行き、その画像が1955回Likeされると、現在に戻ってこれる、という仕組み。

これが、
(download)
こうなるわけです。
(download)
インセンティブなしに、2000近くのLikeを4名分集めるのは結構大変かもしれませんが、なかなか面白いですね。

こうした取り組みは、企業の歴史的な情報と連動させると、楽しみながら学んでもらえる企業PRにもなりそうです。

あと、タイムラインを活用方法は過去だけではないかもしれません。

Mickey
これはDisneyland ParisのFacebookページに投稿された画像ですが、ミッキーが見つめてるその先は未来です。これ自体にはに何の仕掛けも無いのかもしれませんが、Facebookページのタイムラインを最大活用する、という意味では未来の展開も見据えてコンテンツを投稿していく、という視点があってもよさそうですね。

10000%のトラフィック増を生んだお化け屋敷の事例:長期的な積み重ねが発見されたときのインパクト

Fear1-resized-600

カナダのナイアガラの滝にある、Nightmares Fear Factoryという、いわゆるお化け屋敷のような施設が行っているオンラインキャンペーンが、ハロウィンがあった先月話題になっていたようです。

なんでもそのキャンペーンを通じて公式サイトのトラフィックが10月6日から急増し、

デイリートラフィックが午後1時には2倍になり、その日の終わりには10,000%増にまで達した

とのこと。

通常のトラフィックがあまり高くない(公式サイトのデイリーユニークビジターは約600)からでしょうが、これは大きな数字ですね。

他にもこんな数字がプレスリリースで開示されていました。

10月6日以降、Nightmares Fear FactoryのFlickrのView数は、50から300万以上に上昇
FacebookページのLikeは1000から12000に増加
Nightmaresの公式サイトをLikeした人は300から6000に増加

このキャンペーン、何を行っていたかというと、いたってシンプルで、上のようなツアー参加者が驚いている画像を、 FlickrFacebookに投稿できるようにした、ただそれだけのようです。例えば参加者が後日その写真をNightmares Fear FactoryのFacebookページに投稿し、自分やその友人にタグ付けを行う、というような感じです。

シンプルながら、面白いイベントの写真とソーシャルメディアの繋がりというバイラルを生みやすい要素を含んだものといえますね。

さてこのキャンペーン、元記事を見ると、「今年のハロウィンを機に開始した」ようなことが書かれていますが、良く見てみると、Flickrの最初の投稿は"August 11, 2010"、Facebookのほうは"Oct 13, 2010"となっており、実は以前から行っていた施策のようです。

急に注目を集めた理由は、10月6日のBuzzfeedの掲載がきっかけとなり、 ABC Newsや、 The Tonight Show with Jay Lenoなどでも紹介されたためのようです。

ABCのニュース映像などを見ても、面白写真としての紹介で、ハロウィーンとは特に関係なく紹介されていることが分かります。要するに、粛々と続けていたことが、ネット上のある投稿をきっかけに日の目を見ることになった、というケースのようです。

ハロウィンに向けて狙いを定めて「仕掛けた」キャンペーンではなかったわけですが、これはこれでネットらしいちょっといい話、ですね。

雑誌広告を8割カットし、リアルタイムマーケティングに投資したリゾート経営企業Vail Resorts

(この映像は、映画Brave Heartの戦闘シーンですが、なぜその映像を引用したかは、このエントリの最後にご説明します)

伝統的なマス広告をやめ、ソーシャルメディアに予算をシフトする。記事などでよく見かける話ですが、実際にマス広告を一気に取り下げ、それをソーシャルメディアに寄せた、という事例は(短期的なキャンペーンを除くと)あまり多くはないと思います。

ところが、そんな事例の一つとして、北米で有数のスキーリゾートを経営する、Vail Resortsのケースが紹介されていました。年商10億ドルのVail Resortsは、ライフスタイル誌やスキー専門誌などの雑誌メディアにとっても重要なクライアントでしたが、雑誌広告を80%削減し、ソーシャルメディアなどのリアルタイムマーケティングに予算をシフトしたそうです。

なぜか?

理由は単純明快で、顧客の意思決定がよりリアルタイムに変わってきたため、だそうです。

世界的な金融危機や、ソーシャルメディアの興隆によって、6ヵ月程度だった予約期間が2〜3週間に縮まり、部屋の利用率はクリスマスの2週間前に50%から80%に急上昇した。顧客の意思決定はよりスピーディになり、マーケティングやPRの戦略・戦術の変更をしなければならなかった

雑誌広告を行う場合、4〜6ヵ月前から出稿を約束し、制作にはいらなければならないため、実際に顧客が意思決定をする時期に本当に伝えたいメッセージにはならない、だから雑誌広告をやめ、リアルタイムマーケティングに移行したそうです。

Vail ResortsのCEO、Rob Katz氏は、PR、(伝統的な)広告、ソーシャルメディアの各グループを協力させ、ウィークリーベースでのメッセージカレンダーに基づいてマーケティングを行ったそうです。そのメッセージ自体も周りの状況や競合の動きに合わせて変化させ、

PRやソーシャルメディアでのメッセージ発信
新聞広告やバナー広告
SEO

などを行い、雑誌広告に行くはずだった予算を使い切ったそうです。

顧客の意思決定の変化に合わせたマーケティング施策の変更を、ここまでわかりやすく行ったケースはあまりないのではないでしょうか?

また、チャネルの変更と同時に重要だったのが動画の存在だったそうです。

スキーをする人はスキーの動画を見るのが好き

雪の粉が舞い散り、スキーヤーがジャンプをするスリリングで美しい動画。そして動画は、いうまでもなくソーシャルメディアでの人気コンテンツです

さて、冒頭に映画Brave Heartの動画を引用した理由に戻ります。

Vail Resortsがマーケティング方針をリアルタイムマーケティングに転換して雑誌に投下していた予算を留保し、一方で競合がマーケティング活動を始めているのを見ながら、「その時」が来るのを待っていた時の心境は、敵が迫ってくる中、ギリギリまでタイミングをうかがっていた映画Brave Heartの戦闘シーンのようだった、という感想を、CEOのRob Katz氏は持っていたそうです。

その心境を語った公演の映像は↓でご覧いただけます(当エントリはその公演の抜粋です)。

この事例、最後にどうしても気になるのが成功したかどうかですが、残念ながらそこまでは触れられていませんでした。

ただ、IR資料を見る限り、スキーヤーの訪問客数は、2010年度から2011年度で16.3%増加しているので、成果は上がっていると考えていいのでしょう、たぶん。

Total Skier Visits










6,991


6,010

16.3

%

1万以上のLikeを生む最高の顧客サービスを提供したステーキハウスの話

Primetime

先週読んだ記事の中で、1万以上のLike、4700件以上のツイート、200件以上のコメントが付いたエントリがありました。

それは上の画像のような美味しそうなステーキを提供するステーキハウスチェーン"Morton's Stake House"の顧客サービスに関するものです。

そのエントリ"今まで聞いた中で最高の顧客サービス:Morton’s Steakhouse"を書いたのはPeter Shankman氏。

無類のステーキ好きで、Morton's Stake Houseの常連でもあるShankman氏(店側もPeter氏が常連であることを知っている)は、忙しい出張の移動の合間に冗談で

@Mortons 2時間後にニューアーク空港に着くんだけど、porterhouseを持ってきてくれないかな? 

とツイートをして、飛行機に乗り込んだ。

2時間半ほどかかってニューアーク空港に到着し、秘書が帰宅のために手配したはずのドライバーが待つ駐車場に向かうPeter氏。自分の名前を見つけ、手を振り、ドライバーの待つ方に向かって歩き出す。ここまではいつも通りのこと。

ドライバーが、

「Shankmanさん」と声をかけ、

Shankman氏が振り向くと、

「あなたにサプライズがございます」と言う。

すると、ドライバーの横にはタキシードを着て、Morton'sの袋を持った男性が。

Morton'sのHackensack店から来たAlexと名乗るその男性が自己紹介し、バッグを手渡すと、中には24オンスのPortehouseステーキと、大エビ、サイドポテトとパン、2枚のナプキンとナイフとフォークが。

喜びのあまり、Shankman氏は、

I. Was. Floored.(床にひっくり返るほど驚いた)

な状態になってしまったそうです。

ちなみに Shankman氏のブログによると、

1) 自分は冗談でつぶやいただけで

2) 最寄りの店舗から空港までは23.5マイル(約38キロ)離れている

という状況を考えると、

3時間以内という時間で、自分のツイートをみたMorton'sの社員が社内で決済をとり、Hackensack店に連絡し、オーダーを出し、Hackensack店で調理し、包装し、車にサーバーをセットし、ニューアーク空港まで車を走らせ、その間にどのフライトでどこに着陸するかを調べ、私がセキュリティを通った先に待っていた。

という事になるようです。

これはきっと想像よりも、ものすごぐくスピーディーな仕事なはずで、Shankman氏も感激のあまりブログを書き、それが1万以上ものLikeをつけるほどの反響になったようです。 

顧客に「サービスを通じてWowを届ける」がコアバリューのひとつであるZapposの驚きの逸話にも通じる話。

これはかっこいいですね。

企業の担当者としてはこういうのを演出してみたいものです。

さて、なぜこのようなことが実現できたのか、いくつか要因を(推測の範囲ですが)整理してみたいと思います。

ソーシャルメディアを活用して、自社に対するコメントに気がつくことができた
 
現場に権限移譲がなされていて判断がスピーディーにできる環境にあった(たぶん)
 
CRMがしっかりしていて常連客かどうかを把握可能だった
 
 こうしたチャレンジをよしとする企業文化があった(たぶん)

といったところでしょうか。

そしてもう一つ忘れていはいけないのが、Shankman氏そのもののinfluencerとしての存在感です(たぶん)。

10万人以上のTwitterフォロアー

5万人以上のFacebookページLike

を持つShankman氏は、ITベンチャーの創業者、ソーシャルメディアマーケティングのコンサルタント、投資家などとして知られる人。そんなShankman氏であったからこそ、このようなスタントに許可が下り、実現できたのでしょう。

ブログで取り上げてもらえ、大反響になることまでを期待していたかは分かりませんが、お店の常連であることを公言しているインフルエンサーのためであればやってみよう、という事になるでしょうし、現場はとても楽しかったんじゃないかな、と想像してしまいます。

いずれにしてもソーシャルメディアを活用した、ちょっといい話であることには変わりないですね。

ソーシャルメディアのROI、必要なのは大体の目安

ソーシャルメディアマーケティングにおける大きなチャレンジ、それはROIの証明です。

ソーシャルコマースのように売上直結型のソーシャルメディア活用の場合は証明しやすいかもしれませんが、例えばファンとの関わりあいを深めるエンゲージメントを目的とするマーケティングでは、「それが本当に売り上げに貢献しているの?」という事になります。

「ソーシャルメディアにROI はあるのか?」というエントリに、ソーシャルメディアのROI をAudi がどう考えているかについてのコメントがありました。

コメントはAudi が、Twitter を活用したキャンペーンに関するもので、そのキャンペーンは、 #Progressis をつけてツイートしてトップに選ばれると、カリフォルニア旅行と、R8の試乗機会、さらに25,000ドルのチャリティを与えられる、というもの

そのキャンペーン告知自体も注目に値するもので、出広費が高いことで有名なSuper Bowl のCM にハッシュタグを表示し(Super Bowl のCM では初)、

Pomoter tweet を購入し、

さらに、ソーシャルメディアのインフルエンサー分析を行うKlout にも協力を仰ぎ

Audi はKlout の協力により、このキャンペーンでリーチすべき人を1,100名を特定した。

とのこと(Klout はこうしたインフルエンサー検索の企業向けサービスを有料で行っているようですね)。

キャンペーンの賞に費やすコストだけでも安くはないのに、告知にも相当のコストがかかっていると言えます。

結果として、Twittterで数多くのツイートが生まれフォロアー数も伸びたようですが、そのROI については、

現在それを測る方法は無い。

と、語るのはAudi のソーシャルメディア&カスタマーエンゲージメントのゼネラルマネージャーDoug Clark 氏。Audi はFacebook上に300万以上ものファンを持つほどの企業ですが、

そこでのEngagement が車のセールスに貢献できていることを証明する数字はなく、さらにAudi はそれを追及することにあまり興味を持っていない。Audi にとってFacebook やTwitter は、「テクノロジーに強い消費者がアクティブで、Engageするブランドを探している」場所であるが、「ファンがAudi を買う傾向があると言えるか?そんなことは言えない」

とのこと。

マス広告に比べれば使っている予算は少なく、全体へのインパクトも小さいのでこうした姿勢をとれるのかもしれませんが、多くの企業にとっては、そうではないと思いますし、効果を何らかの形で計測したいと思うのは当然。

ソーシャルメディアマーケティングのROI は、認知獲得やリーチ(例:何回RTされた)だけではなく、どれだけ関係を深め、好意度を高めることに貢献できたか、というよう側面から測ることも必要でしょう。

そうすることが購入に結び付くであろう、ということは想像できますし、Twitterの質問に答えた企業から購入する可能性が高い、という調査データもあります。

また、このエントリには次のようなコメントも寄せられていました。

ソーシャルメディアのROI を計測することは不可能ではないが、ソーシャルメディアの活動を収益と結び付けるのは簡単ではありません。たとえば雑誌広告のROI を計算することはできますか?もし追跡可能な読者の反応を測る方法があればできるでしょう。

テレビ広告や雑誌広告の場合、ネットの広告と異なり、(見込み)顧客の反応を明確に測ることができません。認知度●●%を獲得するには●●GRPのCM露出が必要というデータをもとに投資額を決め、後に購入者の広告認知調査や、広告の好意度、購入のきっかけになったかどうかなどの調査が行われ、ROI を立証するのが主なやり方だと思います。

ここでポイントになるのが、テレビや雑誌の広告、さらに言えばPRのコストにおいても、このぐらいまでなら投資するのが妥当で、その場合どの程度の効果を期待すべきか、についての大まかな目安や共通認識があることです。

ソーシャルメディアの場合、「それ自体が新しい」ということに加え、認知獲得、顧客対応、傾聴による顧客理解、ブランディング、そしてエンゲージメントなど、他の手法に比べて多面的にインパクトをもたらすため、「どの程度投資可能で、どの程度のリターンを期待すべきか」についての目安が分かりにくいのが現状と言っていいでしょう。

違う言い方をすると、ソーシャルメディアマーケティングのROI はその妥当な目安が一般化してくれば、それによって投資額とその効果の判断がしやすくなるのではないでしょうか?

ご参考: 

原油流出事故から1年たったBPの空転するソーシャルメディア活動

Bp

原油流出事故から1年以上が経過した現在、 石油メジャーBPのソーシャルメディアチャネルでは、回復するメキシコ湾岸の観光やシーフードなどのステータスアップデートを行う事で、プロモーションを行っているようです。

例えばFacebook Pageをみてみると、

いい釣りを楽しみたいですか?今年のルイジアナの漁場は、大型魚が豊富に水揚げされ、とてもいい釣りの季節に入ったそうです。詳細は下のリンクでどうぞ。

という感じで良いニュースを掲載しています。

ところが、先日公開されていたClick Zの記事によると、どうも地元住民との関係はすっきりしていない様子。

例えば、BPのYouTubeチャネルには、PR代理店が手掛ける地元のレストランオーナーの動画などがあるのですが、記事にはThe Fish Houseというお店のマーケティング担当Shelley Yates氏の、

彼らが撮影に来た時、これはBPとは全く関係がない、と言っていたのですが、その映像はBPのFacebookページやYoutubeに投稿されました。しかも、それはとても不自然な映像で、好意的に受けれられていませんでした。

というコメントが掲載されていました。

そのお店のオーナーが出演している動画は削除されたようですが、

嘘ばかり。彼はこの広告のためにいくらもらったんだろう。

という不本意なコメントも付けられていたとのこと。

今はそれと似たような動画が掲載されています。

この動画にもやはり、非常に多くのネガティブなコメントがつけられており、また多くのコメントが削除されています。

BPとしてはとにかくポジティブなニュースを発信して、ブランドのリカバリーにつなげたい、という意向もあるのかもしれません。ただし、FacebookやTwitter、Youtubeなどを活用したその努力が、奏効しているかというと恐らくそうではないようです。

事故から1年が経過したときに出されたオバマ大統領の声明に関する記事によると、

回復作業には現在も2000人近くが携わっている。声明は「(回復作業は)大幅に進展したが、仕事は終わっていない。湾岸地域を事故以前よりも高い水準に回復させるのが目標だ」

とのこと。

BPによるメキシコ湾の環境回復のPRは「美味しいシーフードを食べませんか?」といったトーンのコミュニケーションをすることではなく、粛々と回復作業のレポートを行い、地域産業のPRに関しては黒子に徹する方がよいのでしょう。

最後にYates氏のコメントを。いったい誰が加害者なのか、という事を考えさせられます。

BPが、メキシコ湾の魚やビーチに関する誤解を解こうとしてくれているのはありがたいが、そのブランド名が同じくらいイメージを悪くしているのではないかとも思っています。
 
実際の現実と、オイルが沿岸に打ちよせてくるというイメージとのギャップに昨年は悪影響を受けました。ほとんどの場所は美しいままなのに、その恐ろしい、陰鬱な映像は繰り返し放映されました。オイルに汚された場所は一部でしたが、メディアが描き出したものは異なり、多くの人を怖がらせるものでした。

リコール問題で危機的状況にあったトヨタがソーシャルメディアで行ったこと

5524245533_b1de1c7a2a_z

via flickr by OnTask

今年2月8日、アメリカの運輸省から電子制御装置に欠陥はなかったとの安全宣言が出され、業績も回復、一旦は幕を閉じることになったトヨタの大規模リコール

そのトヨタが危機的状況にある中、ブランドアドボカシー(推奨)を築くために、どのようにソーシャルメディアを活用したかについて、アメリカ国内のデジタルマーケティング & ソーシャルメディアマネージャー、Kimberley Gardiner氏のプレゼンテーションとそのサマリが紹介されていたので、サマリのほうを抄訳にて。

経営陣を前面に出す
トヨタのアメリカにおけるCEOのJim Lentsを、リコールの真っ最中にDigg上で、コミュニティから寄せられる質問に回答させました。会社のトップを出して回答させたことによってブランドイメージを和らげることに成功しました。

ポジティブなニュースを作る
ブランドに関するネガティブな意見に対し、トヨタはポジティブな会話を生みだす面白いコンテンツを作りました。"Swagger Wagon"というミニバンSiennaを発売するときに使ったバイラルビデオです。(チャンネルの)再生回数は1,100万回を超え、数か月がったった今でもそのことが人々の話題に上ります。このキャンペーンは消費者に投稿を呼び掛けるコンテストになりました。

ブランドの推奨者の声を見つける
トヨタのソーシャルチャネルは、消費者が自らポジティブな意見とブランド体験とを共有する場となりました。それがきっかけで"Autobiography"という、消費者が自分の車についての物語りを、文章や写真、動画等で投稿できるキャンペーンを行いました。1,380ものストーリーが集まり、2か月でトヨタのFacebookページの"Like"は倍になりました。

トヨタのリコール発生当初のソーシャルメディア上の対応については、筆者も「トップ自らが積極的に参加する、米トヨタのソーシャルメディアを活用したダメージコントロール」というエントリで紹介しましたが、初期の時点で積極的にトップが対話を行うフェーズから、消費者との対話を通じて周りの状況(空気)の変化を理解しつつ、それに合ったキャンペーンを順次展開してきた様子がうかがえますね。

Kimberley Gardiner氏のプレゼンテーションは以下の動画はこちらからご覧になることができます。

結果発表:バービーとケン、バレンタインデーに交際再開!

高級ブランドだからこそできる、スペシャルな感謝:ポルシェのFanページ100万人達成記念キャンペーン

いわゆる「高級ブランド」にとってソーシャルメディアでのマーケティング活動は、人間味を見せることや、顧客との距離を(大きく)縮めることが、ブランディングの問題から、ちょっと難しいのが実態。

「ちょっとお高くとまっている感」が、そもそもブランディングだったりするので、よく言われるソーシャルメディアを通じて顧客との関係を深めよう、というのとはちょっと話が違います。

でも自社のソーシャルメディア活動に賛同し、Fanになってくれている人には感謝の気持ちを伝えたいもの。

それもハイブランドらしく、スペシャルな形で。

先週、PorcheのFacebookのFanページが100万人達成記念として示した感謝の仕方が、とても素敵なものだったのでご紹介。

キャンペーンのスペシャルサイトを訪問していただくと、下のような画像になります。

Pp
さらにこれを拡大すると、、、

Pp2
もうおわかりですね。Fan一人一人の名前が、Porsche 911 GT3のボディに記されています。

Fanにとっては自分の大好きなPorcheの車体に自分の名前が載るということがうれしいでしょうし、ブランド側にとっても自社のハイブランド製品を通じて、クリエイティブに感謝の意を伝えられている、という好事例だと思います。

Fanページしかり、Twitterの公式アカウントしかりですが、企業だけが作り上げるものではなく、賛同するファンやフォロアー一人一人の参加があってこその結果。

そのことがしっかりと伝わってきます。