1万以上のLikeを生む最高の顧客サービスを提供したステーキハウスの話

Primetime

先週読んだ記事の中で、1万以上のLike、4700件以上のツイート、200件以上のコメントが付いたエントリがありました。

それは上の画像のような美味しそうなステーキを提供するステーキハウスチェーン"Morton's Stake House"の顧客サービスに関するものです。

そのエントリ"今まで聞いた中で最高の顧客サービス:Morton’s Steakhouse"を書いたのはPeter Shankman氏。

無類のステーキ好きで、Morton's Stake Houseの常連でもあるShankman氏(店側もPeter氏が常連であることを知っている)は、忙しい出張の移動の合間に冗談で

@Mortons 2時間後にニューアーク空港に着くんだけど、porterhouseを持ってきてくれないかな? 

とツイートをして、飛行機に乗り込んだ。

2時間半ほどかかってニューアーク空港に到着し、秘書が帰宅のために手配したはずのドライバーが待つ駐車場に向かうPeter氏。自分の名前を見つけ、手を振り、ドライバーの待つ方に向かって歩き出す。ここまではいつも通りのこと。

ドライバーが、

「Shankmanさん」と声をかけ、

Shankman氏が振り向くと、

「あなたにサプライズがございます」と言う。

すると、ドライバーの横にはタキシードを着て、Morton'sの袋を持った男性が。

Morton'sのHackensack店から来たAlexと名乗るその男性が自己紹介し、バッグを手渡すと、中には24オンスのPortehouseステーキと、大エビ、サイドポテトとパン、2枚のナプキンとナイフとフォークが。

喜びのあまり、Shankman氏は、

I. Was. Floored.(床にひっくり返るほど驚いた)

な状態になってしまったそうです。

ちなみに Shankman氏のブログによると、

1) 自分は冗談でつぶやいただけで

2) 最寄りの店舗から空港までは23.5マイル(約38キロ)離れている

という状況を考えると、

3時間以内という時間で、自分のツイートをみたMorton'sの社員が社内で決済をとり、Hackensack店に連絡し、オーダーを出し、Hackensack店で調理し、包装し、車にサーバーをセットし、ニューアーク空港まで車を走らせ、その間にどのフライトでどこに着陸するかを調べ、私がセキュリティを通った先に待っていた。

という事になるようです。

これはきっと想像よりも、ものすごぐくスピーディーな仕事なはずで、Shankman氏も感激のあまりブログを書き、それが1万以上ものLikeをつけるほどの反響になったようです。 

顧客に「サービスを通じてWowを届ける」がコアバリューのひとつであるZapposの驚きの逸話にも通じる話。

これはかっこいいですね。

企業の担当者としてはこういうのを演出してみたいものです。

さて、なぜこのようなことが実現できたのか、いくつか要因を(推測の範囲ですが)整理してみたいと思います。

ソーシャルメディアを活用して、自社に対するコメントに気がつくことができた
 
現場に権限移譲がなされていて判断がスピーディーにできる環境にあった(たぶん)
 
CRMがしっかりしていて常連客かどうかを把握可能だった
 
 こうしたチャレンジをよしとする企業文化があった(たぶん)

といったところでしょうか。

そしてもう一つ忘れていはいけないのが、Shankman氏そのもののinfluencerとしての存在感です(たぶん)。

10万人以上のTwitterフォロアー

5万人以上のFacebookページLike

を持つShankman氏は、ITベンチャーの創業者、ソーシャルメディアマーケティングのコンサルタント、投資家などとして知られる人。そんなShankman氏であったからこそ、このようなスタントに許可が下り、実現できたのでしょう。

ブログで取り上げてもらえ、大反響になることまでを期待していたかは分かりませんが、お店の常連であることを公言しているインフルエンサーのためであればやってみよう、という事になるでしょうし、現場はとても楽しかったんじゃないかな、と想像してしまいます。

いずれにしてもソーシャルメディアを活用した、ちょっといい話であることには変わりないですね。

Engagementを構成する6要素とその優先順位:ソーシャルメディアとの相性は?

Engagement

via liminal.razorfish.com 

日本語で翻訳するのがとても難しいEngagementという言葉。もともと哲学者サルトルの用語でフランス語。筆者は「関わり合いを深めること」という趣旨の翻訳するようにしています。

シアトルに拠点を置く、デジタルマーケティングのRazorfishという会社が行ったLiminalという調査が、この小難しいEngaegmentについて考える上で参考になるものだったのでご紹介。

調査のテーマは顧客の視点から見たCRM。なので、ソーシャルCRMの話、とおもって読んだほうがいいかもです。

さて、調査で明らかにされたのは顧客にとって企業とのEngagementで重要な構成要素と、Engagementにおける各マーケティングチャネルの有用性。

まず、Engagementの構成要素から。

6つのEngagement構成要素(上図)
 
VALUED(顧客が企業から大切にされていること)
EFFICIENCY(企業が顧客の時間や労力を尊重し早期解決すること)
TRUST(企業を信頼できること)
CONSISTENCY(企業の対応などに一貫性があること)
RELEVANCE(顧客のニーズに即していること)
CONTROL(Opt outのように企業との対話を顧客が制御できること)
 
これまで漠然と捉えていた"Engagement"もこうして要素に分けてみると、なるほどね、という感じがしますし、具体的にどのようなアクションを起こせばいいかの参考になります

さて、これら6つの要素についてさらに興味深いことが調査からわかったそうで、それが以下の2点。

1. 顧客にとって重要なEngagementの要素はValued、Efficiency、Trustの順に重要で、Consistency、Relevance、がそれに続き、Controlは最も順位が低かった
2. 性別、年齢、好みのチャネルなど、どのような角度で調査対象を切った場合にもこの優先順序は変わらなかった。 

なんだか、2006年にTimeが「今年の人」を「You」にしたときに書いてあった言葉が"Yes, you.You control the Information Age. Welcom to your world"であったことを考えると、ちょっと意外な結果ですが、Trustが先にあればControlについては重要度が下がるということなのかもしれません。

 

さて、調査が次に明らかにしたことは、Engagementにおける、マーケィングチャネルの重要性です。

1b
 
このグラフから分かるのは、年齢にかかわらず(25-34歳、35-44歳、45歳以上)、顧客が企業とのEngageする場合はeメールなどの重要度、使用頻度が高く、Facebook、Twitterなどのソーシャルネットワークはあまり期待されていないということ

そして各チャネルとEngagement要素との関連性を調べたのが下の表。

1c

濃い緑色ほど顧客の期待にこたえており、濃い赤になるほどそうではないことを示しています。

このチャートから見えてくることは、

・郵便や紙面広告、携帯のアプリやリアルタイムのチャットなどはパフォーマンスが低い。
・個人宛のeメールや企業公式サイト、面と向かっての対話や伝統的な口コミは高いパフォーマンスを示した。
Twitterやメールのニュースレター、企業のコミュニティサイト、Facebookやレビューサイトはその中間

ということ。

最初のグラフで重要度、使用頻度の低いとされたソーシャルメディアが下の表ではパフォーマンスが中間、ということは何を示しているのでしょうか?

筆者としては期待も込めて「使い方次第」という風に考えたいところです。

EngagementにおいてValuedが重要なのであれば、それをソーシャルメディアを通じて提供するという運用をすればいいはずですが、実際にはそういう運用があまりされていないということだ思います。

例えば、Twitterで自社のサービスに対してネガティブなことが述べられれば「どうしましたか?」と伺い、具体的な解決策を示す。あるいはフォロアー限定で先行予約ができる、などをすることで、Valuedの要素を高めることができると思います。

空港でつぶやかれた顧客が直面している問題可決をTwitter経由で行うJet Blueや、CSとしてTwitterを利用しているXBOXの場合、ソーシャルメディアにおけるValuedやEfficiencyを高め、Engagement向上に貢献できていると考えられます。

それだけのことをソーシャルメディア経由で行えば、Engagementが深まるかもしれませんが、その分人と予算が必要、という先日のエントリとつながってきますね。
 
要はどこまでコミットできるか、なのでしょうね。