ソーシャルグラフとインタレストグラフを合わせて「発見」を提供するStumbleUpon:デジタルでできていないことは需要喚起

January-2012-referal-traffic

主要SNSからの誘導率を示したこのチャート、ご覧になった方もいるかもしれませんが、その多くは「Pinterestが凄い!」という文脈だったのではないでしょうか?

今日はPinterestではなく、このチャートの2位、StumbleUponのお話です。

StumbleUponは、セレンディピティ型SNSとも"Web discovery engine"とも呼ばれるもので、「Stumble! ボタン」を押すだけで、自分の気になるジャンルで、だれかが推薦している人気のあるエントリーやサイトが次々と現れてくる、というもので、時期によってはFacebook以上にトラフィックを生み出していました

StumbleUponは昨年12月にリニューアルし、これまで以上に簡単に興味のあるコンテンツに出会えるように改修され、その月は12億の誘導を生み出したそうです。

さて、そのStumbleUponのインタビュー記事が興味深い内容だったのでご紹介。


StumbleUponは、ユーザーが興味を持つコンテンツや刺激的なコンテンツ、ためになるコンテンツを発見することを可能にするサービスです。私たちは、発見(discovery)は、いま非常に重要なことだと思っています。多くの情報があふれ、人々はそれを負担に感じてます。私たちのプラットフォームを使うことにストレスはかかりません。あなたは"stumble"ボタンを押すだけでいいのです。

↓がそのstumbleボタンですが、ボタンを押すたびに面白いコンテンツが次々と現れます。まさしくStumble upon(偶然出会う)、というわけですが、筆者が昨年12月にPinterestを紹介した時にも書きましたが、この思想はPinterestにも受け継がれていると思います。

Image

このインタビューを読んで面白いな、と思ったのは実は「ストレス」の部分です。インタビューでは、情報を検索した時に表示される10〜20のリンクをチェックしなければ、ということによるストレス、という意味でつかわれていましたが、いわゆるSNS疲れのようなストレスなく情報に出会える、というのもこのサービスのポイントの一つだと思います。

さて、StumbleUponのインタビュイーはGoogle出身とのことでGoogleを引き合いにサービスの説明をしているのですが、それを読むと彼らが実現したいことは、実はGoogleができていないことなんだなぁ、と思わされます。

私たちは発見というコンセプトに基づいて全ての物事を進めています。それに対する明確なニーズがあると思っているからです。人々は好きなコンテンツを消費したいと思っていますが、今行われているのとは異なる方法が色々とあります。ソーシャルグラフとインタレストグラフの両方を一緒にすることで、私たちは私たちのコミュニティーのユーザーに対して、ストレスのなくコンテンツ消費ができる環境を提供しています。そして究極的には人々が素晴らしいコンテンツを発見した時に彼らがしていることは、外に出て共有していることなのです。そうすることでコンテンツがソーシャルな環境で増殖していくのです。

デジタルマーケティングにおける一つのおかしなこと、それは需要の充足(demand-fulfillment)についてはよく取り組んでいるということです。私たちはGoogleにいた頃その問題に何年も取り組み、需要を満たすことについては非常によくできていると自信を持っています。私たちがデジタルマーケターとして本当にできていないこと、それは需要を喚起(demand-generation)する側のことなのです。

StumbleUponのユーザーは英語圏が中心っで、85%が北米。これも他のグローバルにSNSと異なる点ですが、

2012年には、グローバルに展開する予定です。

とのことなので、日本でも普及する日が来るのかもしれませんね。

Guy Kawasaki氏によるZapposのCEO、Tony Hsieh氏のインタビュー:企業家精神、Amazonへの売却、家族、そして幸せについて

Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose
 
先ごろ"Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose"という本を出版した、ZapposのCEO、Tony Hsieh氏のインタビューをGuy Kawasaki氏が行ったようで掲載されていました。
 
Zapposといえば、昨年末Amazonに12億ドルで会社を買収される、という大きな転換を経験したところ。インタビューでは企業家精神について、経営について、家族について、そして幸せについて触れられています。その一部を抄訳にてご紹介。
 
Q: これまでの起業経験を基に考えて、企業家精神は作られるもの?それとも生まれつきのもの?
A: ほとんどの人にとって12歳までに企業家精神を持つかそうでないかが決まると思います
 
Q: (オンラインで購入した靴の)無料配送や、(広大なアメリカでの)翌日配送などの背景にある計算は?
A: 私たちのポリシーは、マーケティングや広告に使うところのお金を、顧客体験に投資し、顧客にクチコミでマーケティングをしてもらうことです。無料配送や、翌日配送へのサプライズのアップグレードは、我々にとってのマーケティングコストと見ています。
 
Q: 企業家はどのうにしてどんなビジネスをはじめるべきかを決めるべきでしょうか?
A: 私なら、異業種の多くの異なることに、異なる人たちとともに挑戦していけば、自分にとって意義のあるビジネスのほうからあなたを見出してくれるでしょう。
 
Q: スタートアップ起業にとって悪いのは、資金が多すぎるのと資金が少なすぎること、どちらですか?
A: 資金が多すぎること。
 
Q: 企業家はどのようなビジネスプランを立てるべきですか?
A: 10年後の自分を考え、1年後までに実現したいことを考える。その間のことは分からないので実際あまり意味が無い。
 
Q: 顧客サービスは新しいマーケティングですか?
A: 新しくなったことは、全てが高度に接続し、情報伝播が以前よりもずっと早くなったことです(Twitterやブログなどを通じて)。顧客サービスのストーリーはそれがいいものでも悪いものでも、すぐに伝わり、企業ブランドにより大きな影響を及ぼします。
 
Q: 普通の昔ながらの電話はZapposにおいてどんな役割ですか?
A: 私たちは電話は最高のブランディング機器だと思っています。顧客との集中をした時間を5〜10分間持つことができますが、30秒のスーパーボウルの広告では、視聴者はあまり集中していません。電話で正しいやり取りを行えば、顧客は長い間覚えてくれていて、友人や家族に私たちのことを話してくれます。
 
Q: 会社が瀕死の状態になったことは、良かったことだと思いますか?
A: そうすることはできる、もし会社がそこから学んで、そのおかげでより強くなったのなら。
  
Q: AmazonはZapposを変えている?それともZapposがAmazonを変えている?
A: 私たちは双方から学んでいます。しかし、彼らの言葉に従うなら、AmazonはZapposが独立し続けることを容認している。私たちはこれからも独自に決定し、Zapposのやり方でブランドと企業文化を育んでいきます。
 
Q: 会社を2億6千5百ドル(LinkExchange)、12億ドル(Zappos)で売却した人物にとっての「幸せ」とは何ですか?
A: コントロールの実感、進歩の実感、つながり(関係性の数と深さ)、より高い目的、です。
 
Q: あなたの母親はあなたを誇りに思っていますか?それともまだ医者になってほしいと思っていますか?
A: 今でも医者になることを望んで切ると思います。
 
ちなみに"Delivering Happiness"には、2005年に一度は断ったAmazonへの売却に至った経緯が語らているそうで、「ザッポスの奇跡―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは」の著者、石塚しのぶ氏のブログにザッポスCEO、トニー・シェイの本『Delivering Happiness』を読んで・・・ にも紹介されています。 
 
主要な投資家であったセコイア・キャピタルが、これ以上ザッポスに投資し続けるのを拒んで、IPO(株式公開)に向けて圧力をかけ始めた、という背景があったらしいです。少し抜粋すると、「彼らは、企業文化に関するザッポスの取り組みを、僕のごく個人的なプロジェクトであるとしか考えておらず、『トニーの社会的実験』などと呼んでいた。社員の幸せについて考える暇があったら、どうしたらもっとたくさんの靴が売れるか心配すべきだ、というのが彼らの意見だった」という記述があるのですが、そういった投資家の姿勢に嫌気がさして、マネジメント・バイアウトを検討していた矢先に、アマゾンからのオファーが持ち上がったとか・・・。
 
"Delivering Happiness"の企業文化を守るための過酷な経験があったことがうかがわれますね。
 
ソーシャルメディアマーケティングでよく語られる、「アドボカシー型のマーケティング(顧客を徹底的に支援し、時として競合の製品をも薦めるマーケティング)」を地で行くZappos。その経営スタイル、発言は多くの示唆に富んでいます。
 
Amazon傘下となった第二ステージでさなる発展を遂げることに期待しています。