Greenpeaceのマテル社襲撃キャンペーンから学べる、ソーシャルメディア活用5つの秘訣

Greenpeace

via greenpeace.org

現時点での今年のベストソーシャルメディアキャンペーン」というエントリがあり、その中で先月発生した国際環境保護NGOのGreenpeaceが、玩具大手メーカーMattel 社の製品パッケージに熱帯雨林を伐採した材料が使われていることを非難したものが取り上げられていました。国内でもニュースになっていたので御存じの方も多いかと思いますが、備忘録的にエントリを。

ちなみにこのGreenpeaceのキャンペーンでは、リアルを起点に「ソーシャルメディア」をチャネルのひとつとして連動させており、ソーシャル単体の話ではありません

そのリアルの部分がまさに上の画像ですが、Los Angels Timesの記事によると、 

火曜の朝、El Segundoの本社に出社したマテルの社員は、彼らの製品である人形のKenを模した巨大なバナーが、同社の熱帯雨林の伐採をについて非難しているのに驚かされた。

8人が逮捕されたこのキャンペーンは、同社がインドネシアの森林伐採を行っている企業との取引をやめるよう訴えるもので、Greenpeaceによるとその会社はぬいぐるみの包装を提供していることが研究所の調査で明らかにされた。

逮捕されたのはビルをよじ登った活動家たちだけではなく、下の動画の1分30秒目あたりから登場するピンクのブルドーザーに乗って登場したBarbieに扮した女性も逮捕された模様。

ここまでならあまりソーシャルとも言えませんが、このキャンペーンのランディングページを訪れるとその工夫が見てとれます。

Index_mattle
Kenを登場させて作成した今回のキャンペーンの趣旨を伝える動画、マテルのCEOに今すぐ訴えよう、というメール送信ツール(文面付き)、TwitterやFacebookに連動させる機能などがシンプルなランディングページに配されています。

実は、Greenpeaceがネスレの熱帯雨林伐採を抗議したときのエントリ「ネスレのFacebookファンページ炎上に見る、ソーシャルメディアで解決できないこと、できるかもしれないこと」のときのスキーム

1. 3/17 ロンドンのネスレ本社前に、Greenpeaceがオランウータンのコスチュームを着て抗議活動を開始。
2. 同日、職場でキットカットを食べている男性が実はオランウータンの指を食べているビデオをYoutubeに公開。
3. これがNGO団体ネスレのやステークホルダー/アンチネスレファンを刺激し、Facebookファンページも炎上。
4. 3/18 英Gardian紙が、"Nestlé is fighting a PR battle with Greenpeace" と報じ、世界的なニュースとなる。

と、今回のマテルへの抗議キャンペーンは似たようなスキームであることが分かります。ランディングページの構成要素も似ています。

Nestle
2回のGreenpeaceのキャンペーンから学べることをまとめると、

・ソーシャルメディアをインパクトのあるリアルと連動させる
・趣旨を分かりやすく伝える動画を活用する
・シェアを促す
・すぐにアクションに参加できるツールを提供する
・心情に訴えかける要素(この場合、危機に瀕する熱帯雨林の動物、ケンとバービー等)を織り交ぜる

というころでしょう。

Greenpeaceから学ぶ、というのもいささか微妙な感じがしますが、スキームとしては基本に忠実だなぁと思います。

(この抗議を受け、3日後の6月11日にマテルはサステナビリティに関するポリシー変更を発表しました。)

成功事例を中途半端にまねしてはダメ:大ヒットしたバイラル動画キャンペーンをコピーしたCiscoのCisco SPiceキャンペーン

 

ただ「成功事例」のまねをするのは良くないよ、ということを確認できる失敗(と言えるでしょう)事例が紹介されていました

Old Spiceの二匹目のドジョウを狙ったCiscoが、自社のルーターのプロモーションを行うために、実施したバイラル動画キャンペーン、その名も"Cisco SPice"。

そのキャンペーンの主人公となったのが、経理のテッド。Old Spiceのキャンペーンで最初のシーディングの際に、The Old Spice Manへの質問を受け付けたように、

Twittterでハッシュタグ  #CiscoSPice をつけてつぶやくか、こちらのブログ http://bit.ly/az8bUG にコメントを残してください。意見をもとに一日中動画を作って投稿していきます。

So, send us topics via twitter to #CiscoSPice or comment on our blog http://bit.ly/az8bUG as we’ll be creating and posting videos throughout the day on our blog based on your inputs

というスキームで実施を試みた模様。

実施部分のみ見ると、Old Spiceのキャンペーンに似ていなくもないですが、バイラルにヒットさせるには色々と足りなかったことが分かります。ここではエントリに書かれの分析と筆者の意見を交えながらその理由を列挙してみたいと思います。

1. ステージが準備されていなかった
Old Spiceのバイラル動画キャンペーンの場合、すでに数ヵ月前から、テレビCMやYou Tube上で有名になっていた。シスコの経理のテッドはそうではなかった。これは筆者が先日のエントリに書いた成功理由「インパクトのある、すでに人気のある人物の採用」の真逆であったと言えます。

2. 誘導先がなかった
上の理由と関連しますが、Old Spiceの場合、テレビCMで有名になった「その男」が登場することで、演じるキャラクター性や会話のトーンが程度定義され、必然的に商品のテレビCMを連想することに繋がる設計になっていたと思います。では、ルーターのバイラル動画キャンペーンに登場する「経理のテッド」は視聴者をどこに導こうとしていたのでしょうか?

3. Twitterキャンペーンが最適化されていなかった
これは致命的なミスといえそうですが、Old Spiceのキャンペーンでは、専用のアカウント@OldSpice が情報発信の起点となって使われていましたが、Ciscoの場合は動画の情報を発する専用アカウントがなかった模様。@CiscoSpice というアカウントが確保されていたようですが、プライベート設定の状態。

4. まねしきれていなかった
動画を見くらべていただけば分かりますが、バスタブにタオルを巻いて立ち、質問に答えていく、というスタイル以外は、コンテンツとして別物といってもいいでしょう。

このCiscoのキャンペーン、結果として作られた動画は検索で確認する限りでは全部で10強程度。その視聴数も数百から数千、合計してもざっと2万程度と何ともさみしい。

事例から成功の要因を学ぶことは重要ですが、中途半端にまねするだけではダメ、ということですね。 

3日間で1100万回以上視聴されたP&Gのバイライル動画キャンペーン:Alyssa Milanoをバスタオル一枚にさせてしまったThe Old Spice Man

Procter & Gambleが、先週注目を集めるバイラルキャンペーンを行いました。 そのキャンペーンの主人公となったのが、上のCMに出てくる"The Old Spice Man"ことIsaiah Mustafa氏。

The Old Spice Manのように男らしい香りを身につけようではないか、というのがCMのコンセプトで、YouTubeチャンネルには過去の面白いCMがそろっています。Isaiah Mustafa氏は元NFLプレイヤーで、2月のスーパーボウルの広告で登場したとのこと。

さて、そのOld SpiceのCMが先週のViral chartでTop3を独占しました。しかも先週だけで合計700万回以上の視聴数になっています。

Untitled
via adage.com 

そのような快挙を生んだキャンペーンとは、TwitterをはじめとするソーシャルメディアとYouTubeを連動させたものでした。

それも普通の動画ではなく、Twitter上のインフルエンサーにあてた挨拶でした。

2日間の大キャンペーンで、チームは180もの"挨拶"動画を作成した。それは結婚のプロポーズに始まり(彼女は受理した)、様々なセレプリティとのやり取りを含むものでした。それは例えば、Ellen DeGeneres, Demi Moore, Christina Applegate, Alysa Milano, George Stephanopoulos, オリンピックスピードスケート選手のApolo Ohno, ゴシップブロガーのPerez Hilton, テック・かジェット系ブログのGizmodo, スタンリーカップチャンピオンのChicago Blackhawks そしてFacebookde1千万人ものファンがいるStarbucks でした。

In a two-day blitz, the team produced more than 180 video "shout-outs," including a marriage proposal (she accepted) and exchanges with celebrities including Ellen DeGeneres, Demi Moore, Christina Applegate, Alysa Milano, George Stephanopoulos, Olympics speed skater Apolo Ohno, gossip blogger Perez Hilton, tech gadget blog Gizmodo, Stanley Cup champions Chicago Blackhawks and Starbucks (which now has 10 million fans on Facebook). (businessinsider.com)

キャンペーン自体は、以下の3ステップからなるシンプルなもの。

・事前にソーシャルメディアを通じて、Old Spice Manへの質問を募集
・寄せられた質問の中からいい内容や影響力のある人への返事を動画で撮影
・撮影した動画をTwitterなどで本人に対して発言する

バイラルが最初に広がったきっかけと見られているのが、Digg.comの創業者であるKevin Rose氏(フォロアー数約117万人)に宛てた動画。 

OldSpice: @kevinrose feeling better? http://digg.com/comedy/Get_Well_Ke… (07/13/2010 11:31:30 PM from web)

「良くなったかい?」という内容で投げかけられたこのツイート、実は下にあるように6日間も熱と肺炎に苦しんだというKevin氏の現状を踏まえたもの。

kevinrose: Day 6 of the fever/pneumonia, first day I've felt semi normal, fever @ 99F, now back to bed, enjoy your saturday all, make the most of it! (07/11/2010 12:18:18 PM from Twitter for iPhone)

しかもつけられているリンクは直接YouTubeではなく、Diggに投稿された動画のリンクになっています。

実際の動画がこちら。 

やぁ、ケビン、体の調子はどうだい?よくなっているといいな。俺自身は一度も風邪をひいたことがない。なぜなら体の98%が筋肉でできていて、筋肉は病気にならないから。俺の体で筋肉でない1%は両耳だ。耳は軟骨でできているからな。だが調べてみるとそうではないようで、耳は熱を出さないらしい。これって俺たち2人にとってすばらしいことだって思わないか?つまり、俺は肉体において明らかに勝っていて、お前はインターネットの天才だから知性で抜きん出ている。お前の明晰な頭脳と、俺の強靭な肉体と、ワイルドでハンサムなこの顔ががひとつになったら、どう思う?いや、それはお前にはできない。俺にも。誰にも。なぜなら、脳が爆発すると考えるのは健康的ではないからな。ではケビン、ありがとう。いや、お前の天才的なコンピュータ言語で言おう。10010110100001101。(一部意訳です。。。)

これにKevin氏が「これまでで最高の動画!」と反応。 

kevinrose: HOLY SH*T, best get well video EVER from the old spice man!: http://bit.ly/dpSeOs (07/14/2010 4:17:30 AM from Tweetie for Mac)

結果、6千回以上もdigg(日本で言うと"はてぶ")されることとなります

さらに凄いのが、 Kevin氏のこのツイートを引用した動画を作っているところ。それを見たKevin氏は「ストーカーされている!」と驚くほど

また、このやり取りを見ていたGuy Kawasaki氏(フォロアー数約25万人)が紹介したところ、 

GuyKawasaki: Old Spice dude replies on Twitter with personalized videos http://idek.net/2pAw (07/14/2010 2:20:33 AM from API)

Old Spice マンが、「@guykawasaki、ビデオを広めてくれてありがとう。ところで、girl kawasaki はいないの?」と、もちろん動画つき返答

これを見てわかるように、動画とツイートは、反応に対するフィードバックも製作されていた、しかもリアルタイムで、ということのようです。

圧巻はバスタオル1枚になってしまったAlyssa Milano氏(フォロアー数約94万人)のこの動画でしょう。

(動画が削除されてしまったようなので、別のリンクを張りました。彼女の公式サイトでもご覧いただけます。)
ちなみにここでAlyssa Milano氏は、$100,000 をメキシコ湾の原油流出事故の復旧に寄付することをThe Old Spice Manに提案しています。

こうした、個別のユニークな動画とTwitterを繰り出し続けた結果は、上にご紹介したCM動画の700万回以上の視聴に加え、

Old SpiceのTwitterフォロアー数は1,000%以上も増え、約600,000人がFacebookの"Like!" ボタンを押した。

Old Spice's Twitter followers increased more than 1,000 percent. Nearly 600,000 people on Facebook gave its ads a thumbs-up "like it" vote. (businessinsider.com)

さらに、The Old Spice Manの一連のキャンペーン動画が3日間で1100万回以上も視聴されるという、申し分のない結果になったようです。

さてさて、このものすごい集中的なキャンペーン、いろいろと学べるものがあると思います。記事にもTipsが紹介されていますが、ここでは筆者の考えを以下に整理します。

1. シンプルさ:セレブリティを含むTwitter上のインフルエンサーにthe Old Spice Manが、動画を通じて返事・挨拶をする。基本的にはそれだけのシンプルなスキームです。スキームが複雑になるほどキャンペーンの運営は難しくなり、成果に結びつきづらくなるもの。製作される動画そのものも非常にシンプルにできています。
2. インパクトのある、すでに人気のある人物の採用:すでにテレビCMで一定の認知と人気を博している人物を起用することで、キャンペーンの受容度が高まっています。キャンペーンに巻き込まれるTiwtter上のインフルエンサーも、「まったく知らないキャラのたった人物」では絡みづらいというもの。
3. 相手の文脈に合わせてパーソナライズされたコンテンツ:先にご紹介したKevin氏へのツイート・動画コンテンツのように、相手の状態(この場合は病み上がりのIT界の著名人)にあわせて、作られています。
4. 絡むのが好きなインフルエンサーを巻き込む:バイラルに広げるための重要な部分。インフルエンサーを選ぶ際にも、その相手がTwitterで絡むのが好きかどうか、というのも大事な判断基準になります。
5. フィードバックの(リアルタイムな)反映:特に今回はリアルタイムの体制が組まれており、Alyssa Milano氏に対しては4回も受け答えの動画を作っています。このように、ソーシャルメディアからのフィードバックを反映し、対話を行っていたのが今回のキャンペーンの秀逸なところで、さらにバイラルに広がった要因だったと思います。

もし今の日本で同様なキャンペーンを行うとしたら、例えばどんな人を立ててやるのがいいんでしょうかね?嗜好は少し異なりますが、こども店長や白戸家のお父さんなどで実施できればヒットしそうですね。

影響力の逆輸入とグローバルなシーディングの可能性:100万体験を達成したIS Paradeプロモーション

Isp

 

以前Twitterのバナー広告で見かけて遊んでみた、auのプロモーションサイト「IS Parade」。TwitterのIDを入れると自分のフォロアーを引き連れてパレードになる、という体験型の施策。

そのIS Paradeを試した人が100万人を超えた、とのブログが昨日のタイムラインをにぎわしていたので、筆者も昨日改めてパレード体験をしました。

順序がどうなっていたのかは定かでないのですが、100万体験達成の裏には、海外の有力Twitterユーザーの推薦があったようです

backtypeで調べてみた結果が下の画像。

Back

ZapposのCEOや、Twitterの共同ファウンダーなど、100万人以上のフォロアーがいるそうそうたるメンバーが影響を及ぼした模様。

これまでもこういう現象はあったのかもしれないけれども、これって影響力の逆輸入、みたいなものですよね。

「この会社の製品はすごくいいんだけど、世の中で認められていない」
「このアーティストはとても才能があるのに評価されていない」

こういう話はよく耳にするかも知れませんが、日本国内という環境下で評価される機会を待つよりも、海外で先に評価を得ることで国内でも注目を浴びるというパターンもあります。有名な例がアーティストの村上隆さんでしょう。

日本人よりも外国人のほうが面白がって評価してくれる」 村上隆 (via wikipedia

ネットのように世界につながっているものであれば、海外での評価を得ようというアプローチもありかもしれません。語弊があるかもしれませんが、グローバルなシーディングです。

そうした施策を行ったのかどうかはわかりませんが、IS Paradeのような言葉による障壁のない体験型のプロモーションであれば、海外のインプルエンサーに知ってもらう、ということもアリかもしれません

特に、TwitterやFacebookのような伝達力のあるツールが普及した現在なら。

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