Guy Kawasaki氏によるZapposのCEO、Tony Hsieh氏のインタビュー:企業家精神、Amazonへの売却、家族、そして幸せについて

Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose
 
先ごろ"Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose"という本を出版した、ZapposのCEO、Tony Hsieh氏のインタビューをGuy Kawasaki氏が行ったようで掲載されていました。
 
Zapposといえば、昨年末Amazonに12億ドルで会社を買収される、という大きな転換を経験したところ。インタビューでは企業家精神について、経営について、家族について、そして幸せについて触れられています。その一部を抄訳にてご紹介。
 
Q: これまでの起業経験を基に考えて、企業家精神は作られるもの?それとも生まれつきのもの?
A: ほとんどの人にとって12歳までに企業家精神を持つかそうでないかが決まると思います
 
Q: (オンラインで購入した靴の)無料配送や、(広大なアメリカでの)翌日配送などの背景にある計算は?
A: 私たちのポリシーは、マーケティングや広告に使うところのお金を、顧客体験に投資し、顧客にクチコミでマーケティングをしてもらうことです。無料配送や、翌日配送へのサプライズのアップグレードは、我々にとってのマーケティングコストと見ています。
 
Q: 企業家はどのうにしてどんなビジネスをはじめるべきかを決めるべきでしょうか?
A: 私なら、異業種の多くの異なることに、異なる人たちとともに挑戦していけば、自分にとって意義のあるビジネスのほうからあなたを見出してくれるでしょう。
 
Q: スタートアップ起業にとって悪いのは、資金が多すぎるのと資金が少なすぎること、どちらですか?
A: 資金が多すぎること。
 
Q: 企業家はどのようなビジネスプランを立てるべきですか?
A: 10年後の自分を考え、1年後までに実現したいことを考える。その間のことは分からないので実際あまり意味が無い。
 
Q: 顧客サービスは新しいマーケティングですか?
A: 新しくなったことは、全てが高度に接続し、情報伝播が以前よりもずっと早くなったことです(Twitterやブログなどを通じて)。顧客サービスのストーリーはそれがいいものでも悪いものでも、すぐに伝わり、企業ブランドにより大きな影響を及ぼします。
 
Q: 普通の昔ながらの電話はZapposにおいてどんな役割ですか?
A: 私たちは電話は最高のブランディング機器だと思っています。顧客との集中をした時間を5〜10分間持つことができますが、30秒のスーパーボウルの広告では、視聴者はあまり集中していません。電話で正しいやり取りを行えば、顧客は長い間覚えてくれていて、友人や家族に私たちのことを話してくれます。
 
Q: 会社が瀕死の状態になったことは、良かったことだと思いますか?
A: そうすることはできる、もし会社がそこから学んで、そのおかげでより強くなったのなら。
  
Q: AmazonはZapposを変えている?それともZapposがAmazonを変えている?
A: 私たちは双方から学んでいます。しかし、彼らの言葉に従うなら、AmazonはZapposが独立し続けることを容認している。私たちはこれからも独自に決定し、Zapposのやり方でブランドと企業文化を育んでいきます。
 
Q: 会社を2億6千5百ドル(LinkExchange)、12億ドル(Zappos)で売却した人物にとっての「幸せ」とは何ですか?
A: コントロールの実感、進歩の実感、つながり(関係性の数と深さ)、より高い目的、です。
 
Q: あなたの母親はあなたを誇りに思っていますか?それともまだ医者になってほしいと思っていますか?
A: 今でも医者になることを望んで切ると思います。
 
ちなみに"Delivering Happiness"には、2005年に一度は断ったAmazonへの売却に至った経緯が語らているそうで、「ザッポスの奇跡―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは」の著者、石塚しのぶ氏のブログにザッポスCEO、トニー・シェイの本『Delivering Happiness』を読んで・・・ にも紹介されています。 
 
主要な投資家であったセコイア・キャピタルが、これ以上ザッポスに投資し続けるのを拒んで、IPO(株式公開)に向けて圧力をかけ始めた、という背景があったらしいです。少し抜粋すると、「彼らは、企業文化に関するザッポスの取り組みを、僕のごく個人的なプロジェクトであるとしか考えておらず、『トニーの社会的実験』などと呼んでいた。社員の幸せについて考える暇があったら、どうしたらもっとたくさんの靴が売れるか心配すべきだ、というのが彼らの意見だった」という記述があるのですが、そういった投資家の姿勢に嫌気がさして、マネジメント・バイアウトを検討していた矢先に、アマゾンからのオファーが持ち上がったとか・・・。
 
"Delivering Happiness"の企業文化を守るための過酷な経験があったことがうかがわれますね。
 
ソーシャルメディアマーケティングでよく語られる、「アドボカシー型のマーケティング(顧客を徹底的に支援し、時として競合の製品をも薦めるマーケティング)」を地で行くZappos。その経営スタイル、発言は多くの示唆に富んでいます。
 
Amazon傘下となった第二ステージでさなる発展を遂げることに期待しています。
 

最近見た、心温まるZapposの3つの奇跡

最近見た、心温まるZapposの3つの奇跡をまとめてご紹介します。

まず一つ目が上の動画。

見たことのある方もいるかもしれませんが、ちょっと前から話題になっている、ザッポス初のテレビCMです。

Here's our first TV spot featuring puppets & actual phone calls to Zappos (more coming)! - http://bit.ly/b5Hms4 10:38 AM Mar 9th

ザッポスのコンタクトセンターの社員と顧客とのやり取りを題材に、パペットを使って作られたこのCM、実は実際にコンタクトセンターにかかってきた電話の録音を使っているのです。

内容はというと、「素敵な服を受け取ったが送り主が分からない」という問合せの電話に対応する社員が「誰からだと思う?」とクイズを出しながら楽しい会話で対応をし、最後にその女性が思いを寄せる男性からのプレゼントと分かり、喜びの声を上げる、というものです。

実際の電話の録音を使いながら作るところがZapposらしい透明性でもありますし、社員との楽しい会話やハッピーな瞬間を見ることができるのもならでは、と言う感じがします。

二つ目は、

Friendly reminder: Today is the deadline to submit your photos for the 2010 Zappos culture book! - http://bit.ly/cEVFfF 12:17 PM Mar 19th 

というツイートに関するもの。リンク先を見ると、"Be A Part of Zappos Culture History!" と題されたエントリで、昨年"Zappos.com Gear Zappos Culture Book - 2009 Edition"を制作する際に、顧客や社員、パートナーから写真を募集したところ、大好評だったので今年も実施する、というもの。

本の内容は、

Zapposの企業文化がなぜ特別で成功しているのかを社員やベンダーらによる何百ものエッセイを通じて説明しているもの

Contains hundreds of short essays written by Zappos employees and vendors explaining what makes the Zappos company culture so special and successful.

と言う感じで、募集要項もいかにもな内容。

Things we’d like to see:
What you think of when you hear “Zappos”(Zapposと言えば?)
Your favorite Zappos item(お気に入りのZapposアイテム)
Something fun and a little weird(楽しくて、ちょっと変わっているもの)
Something that makes you smile(あなたを笑顔にするもの)
Something you’re passionate about(あなたが情熱を傾けているもの)
Your interpretation of one of our core values(コアバリューのあなたなりの解釈)

実はこの本、販売されているのですが、そのレビューも"Seriously, this should be mandatory reading in every business, MBA, and leadership class.(全てのビジネス、MBAやリーダーシップのクラスにとって、この本は間違いなく必読書です)"と非常に高く評価されています。

何が凄いかって、こうして関係者のEngageを生み、それを通じて社外の人にもポジティブな影響を与える。こんなことができる会社、なかなかありませんよね?

そして最後の奇跡はCEOのTonyが11歳になる娘のAvaや企業家や明日のビジネスリーダー達にささげているという、2010年6月7日から発売される書籍"Delivering Happiness"を、11歳の誕生日に初めてプレゼントした、というもの。

プレゼントする際、人生のアドバイスとともにプレゼンテーションを作ったのですが、それが非常に心温まる内容で、同時にビジネスパーソンにも役立つものになっています。

ということで、最後にそのスライドショーをご覧ください。解説は、、、不要ですね!